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「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門」感想と要点紹介②

こんにちは、papaたぬきです。

私たちはどんなに苦労があっても、最終的にはハッピーエンドをどうしても望んでしまいますよね。
改めてこんなふうに考えることなんて日常生活の中でほとんどないと思いますし、おそらく無意識なうちに我々がイメージしているのでしょう。
考えていること自体にはまったく罪はありませんが、問題なのはそこに現実感があるかどうかなのです。
ハッピーエンドを望めば、本当にハッピーエンドになるのか。
実はこの考えが「幸福の罠」といわれるドツボにハマる考えだともいわれています。

幸福の罠を支える4つの神話

1.幸福はすべての人類にとって自然な状態だ

「人間は幸福な状態が自然である」という主張が、社会的に、文化的に、言わずもがなの状態でまかり通っていると思います。
しかし、本当にそうでしょうか。
統計データでいうと約30%の人が人生において何かしらの精神疾患を患うといわれており、それに加えて精神疾患でないにしろ不幸な状態、孤独、離婚、仕事のストレス、中年の危機、人間関係、社会的な孤立、偏見、目的感の喪失などを加えれば、人生において幸福なことは実は稀であることがわかります。
そしてさらに不幸なのは、「自分以外はみんな幸福なのだ」と信じてしまう我々の考えも追い討ちをかけるように不幸を強めてしまうということです。

2.幸福でないのはあなたに欠陥があるからだ

私たちは苦痛を感じるたびに自分の弱さ、愚かさ、不完全さを自ら批判するようになってしまいました。
ACTの考えでは、苦痛は逃れることができず、また苦痛を感じるのは健康な進化を遂げてきた証拠でもあり、当然なのだというものです。
あなたに欠陥があるから幸福ではない、という訳ではないのです。

3.より良い人生を創造するためにネガティブな感情を追い払わないといけない

社会は我々に「ネガティブな感情を追い払い、ポジティブなもので満たせ」と命じています。
一見理にかなっているし、実際ネガティブが好きだという人はあまりいません。
しかしひとつ問題なことは、人生で価値あるものは、喜ばしい感情と不快な感情の両方を伴っているということです。
親密なパートナーとの関係では愛と喜びを経験しますが、一方では失望や疑念、フラストレーションも経験することになります。
仕事のやりがいに関しては、興奮や情熱を経験しますが、一方ではストレスや恐れ、不安なども経験します。
ネガティブな感情を避け続けるには、ポジティブな感情も避けなければならず、それはすなわち価値ある人生を歩めなくなるといった本末転倒な話になってきてしまうのです。

4.自分の思考や感情をコントロールできなければいけない

結論からいうと、思考や感情を自らコントロールする力は弱く、自分が望むようにはできないということです。
しかし一方で、行動であればかなりコントロールが可能といわれています。
私たちは行動を起こすことにより、豊かで満ち足りた、意味ある人生を創造できるというのです。
これまでの人生で、ポジティブに考えようと何度も挑戦してきたと思いますが、おそらく何度もネガティブな思考が戻ってきたのだと思われます。
このネガティブに捉われること自体はあなたが悪い訳ではなく、人類の進化の影響が大きいといわれています。
良い気分を獲得しようとすれば一時的には実感できますが、本当に悪い気分のときには太刀打ちできなかったり、なんども不快感の出現と対処行動をいったりきたりの状態になっていたのでないでしょうか。
さらにまずいことに、思考と感情のコントロールに失敗すると、「自分は無力だ」という思いが強められてしまい、余計に不快な気持ちに陥ってしまうといわれています。

上述の通り、自分のネガティブな思考と感情に立ち向かっていくことは、勝ち目のない闘争を挑んでいるようなものなのです。
この闘争こそが、「幸福の罠」といわれています。

目に見える、外的な要因で、明らかに問題となるような、いわば解決可能なものであれば不快さを回避するための対処が十分に機能すると思われますし、むしろ積極的に取り組んだ方が人生としていいのかもしれません。
しかし、自分の内面に関してはどこまでが解決可能で、コントロールができるのでしょうか。
思考、記憶、感情、衝動、本能、知覚などは、嫌いだからといって避けたり消したりすることが可能でしょうか。
答えは、「思ってる以上にかなり難しい」ということです。
子どもの頃から「感情はコントロールできなければならない」と教育を受けてきたもので、大人はさぞかし感情をコントロールできているのだと思っていましたが、実際はまったくそんなことはなく、大人も感情をコントロールできずに悩み、アルコールや薬物でごまかそうとしたり、病気になるなどしているのです。よく言われる、「気にするな」というのは実行にうつすのは不可能に近いことなのです。

続きは、また次回に。


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