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顧客起点での事業推進を考えてみた結果、カスタマーサクセス主導のナレッジマネジメントに行き着いた話

企業の課題をカスタマーサクセス起点で滑らかにするSuccess Goal Lab.代表の大竹健斗です。

大企業・ベンチャーでの営業、PM、CS、経営の経験を基に、事業や組織でよくある課題とその解決方法についてnoteで発信しています。

本日は、我々が常に念頭に置いている「顧客起点での事業推進」というものを改めて考えてみたところ、実はそれってカスタマーサクセスが主導となって行うナレッジマネジメントによって課題解決できるんじゃないか?というテーマでお話をしたいと思います。

今回のテーマは顧客起点での事業推進の重要性/カスタマーサクセスが主導で行うべきという2つの記事に分けております。
Vol.2はこちら


顧客起点での事業推進が求められる背景

近年ますます、企業における事業推進のあり方として「顧客起点」というキーワードがクローズアップされてるのではないかなと思います。

個々の企業にとって、最も重要なステークホルダーは顧客であり、これまで以上にその関係性が変化しており、インターネットとメディアの普及により、顧客はもはや単なる消費者ではなく、製品やサービスについての情報を簡単に共有し、影響を与える存在になっています。

そして、ニーズの多様化やサブスクリプションモデルが普及したことによって、企業は顧客の個別データを取得することができ、これが顧客中心から個別化への流れをもたらしており、この変化が、顧客起点で物事を考える重要性を一層際立たせているといえます。

特にSaaS業界では、顧客中心のアプローチが顕著であり、顧客との関係性をより深化させる取り組みが活発化していますね。
例えば、NPSや顧客満足度調査などを活用して、顧客の満足度や要望を定期的に調査しサービスの改善に反映させたり、サービスの利用者であるユーザーが集まり、そのサービスに対する疑問や運用の不安を解消するユーザーコミュニティ会を開催している企業は多くあります。

顧客起点での事業推進実現の障壁

しかし、顧客起点に基づく事業推進も実際に実現するには容易なものではなく、理想と現実のギャップを感じているケースが多いのではないでしょうか。
私は主に3つの障壁があると考えています。
一つ目の障壁が、リアルな顧客の声(顧客の一次情報)を事業にフィードバックすることができていない、ということです。
マーケティングの現場においては、形式的なアンケートでの声しか把握ができておらず、有益な顧客の生のデータが不足している状況があります。
また、カスタマーサポートの現場においては、お問合せ対応の履歴として顧客の声が蓄積されているものの、それらが開発などに適切にフィードバックされる仕組みが作れていないのがケースとして多いのではないでしょうか。

二つ目は、社内での顧客に関する知見・情報の属人化が進んでしまっている点です。
手元の顧客データや運用におけるベストプラクティスが共有化されず、個々の努力にとどまっているために、組織全体としての顧客理解が一向に深まりづらい状況になっています。

三つ目が、優先順位の上位に顧客視点が位置づけられていない、という点です。
形式的には「顧客起点」というテーマが掲げられていても、実際の意志決定の場面では、軽視されがちな現状がまだまだあります。
(もちろん、顧客すらも気づいていないバーニングニーズというのは実際に存在するので顧客の声だけを聞いて意思決定すればいいわけではないことは確かです)

これらの障壁を解消するためには、以下の3点が重要なポイントになると考えられます。

(1)継続的な顧客接点の担保
メールやチャットツール、オンライン/対面MTGなどの複数チャネルを通じて顧客の生の声(一次情報)を常時キャッチする体制を構築する。

(2)社内でのデータ連携強化
様々な部署での顧客データを1ヶ所に集約し、全社的な共有を実現する。

(3)全社での意思決定方針の明確化
顧客対応をする部門だけではなく、全社的に「顧客起点」を優先事項の真のトップに位置づける。

これらを同時並行で進めることが、理想の実現につながると考えられます。

解決策としてのナレッジマネジメント

そして前章までに述べた課題解決に向けた切り札が、まさにこの記事のキーワードになっている「ナレッジマネジメント」であると考えています。

ナレッジマネジメントは文字通り、組織内の知識や情報、データを戦略的にマネジメントする手法のことですが、具体的には以下の4つのステップが重要になってきます。

①ナレッジの収集と蓄積をする仕組み作り
顧客接点の現場などからの知見や情報をデータベース化し蓄積することによって顧客ニーズや課題の実態把握が迅速かつ正確に進むようになります。
しかし、顧客MTGで吸い上げた要望などがそのまま活用されずに、宙に浮いたまま放置されることもよくあります。
ある企業の例では、顧客MTGで吸い上げた要望や知見の内容をSlackに投稿し、特定のスタンプを押すと自動的にNotionのデータベースに蓄積されるワークフローを作ることで、気軽に情報が蓄積されるようになり、機能改善やオペレーション改善に有効活用する仕組みを構築することが出来ています。

②全社でのナレッジ連携を取りまとめる専任担当のアサイン
ただ単に各メンバーがナレッジを思い思いに蓄積していくだけでは、ナレッジを複数部署にまたがって連携して、事業推進に活かしていくということはできません。
全社でナレッジの連携を取りまとめる専任担当が必ず必要となってきます。

③連携したナレッジを機能改善やサービス改善に繋げる仕組み作り
ナレッジ連携の専任担当がアサインされたら、次はそのメンバーが中心となって、蓄積されたナレッジを事業推進に繋げていく仕組みを作っていかないといけません。
例えばある企業の、顧客要望から機能改善へと繋げる仕組みの例では、
まずNotionやBacklogなどを活用して、顧客要望や不具合事象などをチケットで管理するようにしています。
そして週に1回の「チケット精査定例」で起票者から内容共有を行い、会議の中で内容のブラッシュアップ、優先度の精査を行います。
さらに「チケット精査定例」とは別に「プロダクト改善定例」を開催し、開発やセールス、カスタマーサクセス、マーケティングなど部署をまたいだメンバーが一緒に優先度の高いチケットの開発方針を議論する場を設けることで、全社的な方針をぶらさずに顧客からの要望をプロダクトに反映させることが出来ています。

④ナレッジの活用領域の拡大
蓄積していったナレッジは機能改善だけでなく、セールスにおけるトークのブラッシュアップや、カスタマーサポートの問い合わせ対応オペレーションの効率化、新入社員教育など様々な領域に活用することができますので、上記までのステップを横展開し、活用領域をどんどん拡大していくことが必要です。
これによって一貫した顧客起点での事業推進が徹底される好循環が生まれるようになります。

こうしたデータと人材の両輪を回す仕組みを作っていくことで、以下のメリットが見込めます。

  • 速やかな意思決定が可能になる

  • 成功事例の共有によって、業務効率が向上する

  • データから導かれる新サービスの開発や機能改善につながる

  • 社員教育の質の向上・平準化につながる

  • 事業戦略立案の精度が向上する

このように部門をつなぐナレッジ循環を強化することが、顧客起点の事業推進の実現の近道であるといえるでしょう。

しかし、ここまで述べたナレッジマネジメントですが、問題となるのはどの部門が主導となって遂行するのか、という点です。

我々が最も適していると考えているのはカスタマーサクセスの部門です。
カスタマーサクセスこそ、全社的なナレッジマネジメントを推進し、顧客起点での事業推進を行う舵取りとなる部門であると考えています。

本記事のまとめと当社のサービスについて

ここまででVol.1の内容は終わりとなります。
続きはVol.2となりますので、こちらをご覧ください。

Vol.1の本記事では、いかに顧客に関するナレッジを蓄積していき、蓄積されたナレッジをプロダクトの機能改善やオペレーション改善、社内教育など幅広い領域に活かしていく仕組み作りができるかが「顧客起点での事業推進」の実現のための近道になると解説しました。
Vol.2では、ナレッジマネジメントの担い手としてのカスタマーサクセスに焦点を当てて解説していきます。

最後に、当社のサービスについて触れておきたいと思います。私たちはカスタマーサクセスを起点とした事業開発・組織開発を行っています。経験に基づく独自フレームワークの提供、個人ではなくプロCSチームの提供、従業員の卒業支援制度を独自の強みとしています。お困りの際は気軽にご連絡ください!

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