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インフラエンジニア 年末年始のハナシ

誰も働かない時に仕事がある

 システムエンジニアをやっている人間のあるある、にはなるがシステムの切替やカットオーバーなどは使っているヒトがいないような時間帯でしか作業ができないため、夜間作業や休日になることが多い。
 インフラエンジニアやネットワークエンジニアなんて職種になるとこれがさらにヒドクなっていく。開発もヒドイ目にあうことあるけれど、インフラの方が酷いんじゃないかなぁ。

数年ぶりのお正月

 オッサンはIT傭兵社外常駐のヒト売りの企業で働いていた時が長いので派遣先のカレンダーに合わせて働くことになってしまうのだが、フリーランスになってからようやくヒト並みのカレンダーで生活が出来るようになった。

 それまでは、年末年始の「最終バッチ確認」やら「初回バッチ確認」なんていう業務にぶっこまれたり、障害待機輪番表に組み込まれたり(そしてほぼ確実に呼び出される)という、年末年始を過ごしていた。
 みなさんが利用している色々な仕組みを支えている情報システムも、ヒトが裏で維持管理をやっているってことで。

 年末31日にゾロゾロと派遣のエンジニアが集まり、夜間のバッチ処理を見届けるという古き時代の伝統を引きずったようなシステムであればアリガチな業務で、カップ麺のソバをたぐりながら最終バッチ処理状況と睨めっこをして、日付が変わってから動き出す初回バッチ処理状況をカップに残った汁をすすりながら睨めっこするといった恒例作業である。

 オッサンが若い頃はどこでもこんな感じだったんだけれど、最近のシステムはワリと賢く作られていて、この手のモノは減ってきてはいるんだけれどそれでもどうしても社会的にインパクトがある業種だと障害が発生したりすると年始が始まってからの影響がデカいため監視をせざるを得ないんだよな。電気やガスや金融とか金融とか金融とか金融とかといったものだと。

 データセンターに行ってみるとわかるんだけれど、機器を納めるラックにはお札が貼ってあることもあるんだよな。お客やプロジェクトのPMとかが一緒に神社に行ってお札を交換するの。ネタでもなんでもなくて本当のハナシで、PMの予定表に「外出 神社」とか書いてあったりするのもこの年末年始の行事だったり。

 オッサンは見たことがないが、データセンターに神主を呼んでお祓いをするプロジェクトもあるとか。データセンターの中をあの恰好をした神主さんや巫女さんが歩いたりするのだろうか?ラックに満載された機械相手にお祓いをするんだろうな。なんて名前の異次元転生のハナシなんだろう。

 ITという科学の世界で生きていても最後は神頼み。現実は非情である。

モノが絡むとハードモード

 ヒトが居ないということはモノが運べたり入れ替えたりすることが出来るわけで、この隙に機器を交換しようなんてことも計画される。インフラエンジニアやネットワークエンジニアはこういう時にも動員される。建屋にあるネットワーク機器を入れ替えたりとか。
 入れ替える前までには元気に動いていた機器が入れ替えた新しい場所では元気がなくなる。なぜかこういうことが起こる。なんで起こるかはわからない。だけれど起こる。

 用意周到に準備をしていても、機械の機嫌が悪くなるとプロジェクトの進捗が遅れて、参加する人間の機嫌も悪くなる。負のスパイラル。
 遅延の報告をするたびに、PMから舌打ちを頂くという誰も得をしないような舌打ちスパイラルを乗り越え、ようやく機器が入れ替えることができたり。なので、みんな感謝して使って欲しい。

カットオーバーが絡むとナイトメアモード

 他にはこの時期を狙って、新しいシステムを稼働させるといった計画もよく起こる。これから使いますよ!というタイミングでなぜか機嫌が悪くなる。この時はほとんどインフラエンジニアではなく開発のプログラマーたちが焦っててんやわんやになる。忙しそうにバタバタしているのをインフラエンジニア達は眺めているといった構図が多いか。
 なぜか真っ先にインフラが疑われて被害者になるんだけれど。

 まぁ、無かったものが新しく出来るんなら、まだいいのよね。
 失敗しても無かったものだから、最悪、利用時期をずらせばいい。

システム更改になるとヘルモード

 有るものが新しくなるってのが一番キツイ。
 システム更改。

 古いモノから新しいモノに入れ替えるということは、新しい方が使えなかった場合、古いモノに戻すという作業が発生する。
 やっぱり新しいものは使えませんでした!てへっ!
 ってワケにはいかなくて、この切り戻し作業ってのが大変。上手く切り戻せないと古い方も使えなくなってしまって、ジ・エンド。なので切り戻し作業の計画の方が、切替計画より比重が高くなることも少なくない。新しい方を切り離すだけだから難易度は低いんだけれど、煩雑になることが多いな。

 こんなコトが発生しないように、移行リハーサルという事前準備をやったりしても失敗したりする。大きいプロジェクトだと移行リハーサルだけで3回も4回もやったりする。最初は失敗して、数をこなしてどんどん良くなって完璧だ!って状態で切替に臨んでも、なぜか本番作業時には今までのリハーサルで起こらなかったコトが起こる。

 切替完了時にお祝いで配られるビールやメシが反省会の食事に代用された現場を何度見たことか。

余談

 XX年問題、とかいうのに絡むとさらにハードなコトになっていく。オッサンは忘れない。学徒出陣バイトで参加させられた2000年問題の対応とか。学生には過ぎたるお金を貰ってウハウハだったけれど、社会人になるとハシタ金。思い出すとゲロを吐きそうな作業だったのに、あの小遣いみたいなバイト代でどうしてあんなに喜べたのか。どうしてこの業界で働いているのか。

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