見出し画像

【今年本厄な人編!】制作会社の中の人が、好きな本の装丁を紹介してみた。

※今年本厄という記載がございますが、こちらの記事は2021年に執筆されたものですので、"今年"=2021年時点となります。ご了承ください。

はじめまして、こんにちは。

KNPデザイナーの"今年本厄な人"です。
自分は2021年が本厄という事で、さまざまな事に用心しながら生きていますが、逆に悪い出来事は全部「厄年だから!」で片付ける事が出来るので、案外便利だな〜と感じてます。

今回は「装丁」がテーマという事で、デザイナーとして、好きというか記憶に残ったものをピックアップしてみました。

それがこちら!


からだにおいしい 野菜の便利帳

画像1

出典:高橋書店 からだにおいしい 野菜の便利帳
画像引用:Amazon  デザイン:株式会社レジア

先にお伝えしますが、野菜に詳しい訳でもなく、料理も一切しませんので。


この本、2008年発刊なので、10年以上も前にデザインされたものになります。何故一昔前のものをピックしたかというと、当時の自分がはじめて書店でこの本を見たとき、「この見せ方新しいし、素敵すぎるかも〜!」と心の中で叫んでしまったからです。


自分自身の装丁デザイン

その頃の自分は、書籍の仕事を中心にデザイン制作をしており、この本のような実用書であったり、ビジネス書などの装丁デザインも手がけていました。

世の中だいたいそうですが、書籍もヒット作が出ると、同じような本が各出版社から発刊されはじめます。装丁デザインも同様に「何か新しくて、ステキ!」なものが出ると、トレンドとなって何となく似た印象のものが書店に並び始めます。自分にもデザイナーとして野心があり、新しい潮流を生み出してやる〜!!!と、強気の変化球な装丁デザインを何度か提案したことがありますが、「予算的にそのデザイン設計は無理…」「見た目は良いけど、何の本なのか分かりづらい…」「この本の購買層は、安心出来る見た目が好みなんで…」と、どうも自己満足でしかない提案だったようで、クライアントのニーズにフィットしたうえでの目新しいデザインは生み出せませんでした。



丁度いい新しさ

そんな自己満デザインを提案していた頃に、この「野菜の便利帳」を書店で発見しました。

既に注目されていたのか、レジ前の「注目作はコレ!」みたいなスペースに平積みされており、一瞬図鑑?と思いつつ手に取り見てみると、「これ中面?」のような情報量を綺麗にレイアウトし、それを表紙のビジュアルとして完成させているという、これまでにないアイデアでデザインされた装丁でした。

大げさですが、2008年の書店に並ぶ実用書の装丁においては「何か新しくて、ステキ!度」が抜群に高かったと勝手に思っています。

派手で目立つデザインではないですが、内容とイメージがマッチしたうえで、これまでと違う表現手法が使われている点が、「丁度いい塩梅の新しさって、こういう事か〜」と、自分にとって勉強にもなりました。

ちなみに、この表紙にデザインされている説明文などの文字は、本当にギリギリ読める大きさに設計されています。読んでもらう必要はないが、ギリギリ読める文字の大きさにしてる点も、細部まで計算された印象があります。


便利帳シリーズとなる

この本は内容も評価された事で、非常に売れたようで、その後「便利帳シリーズ」となり、「魚の便利帳」「フルーツの便利帳」「調味料の便利帳」「新・野菜の便利帳」〜など、多くの展開がされています。

画像3

出典:高橋書店 新・野菜の便利帳 おいしい編
出典:高橋書店 からだにおいしい フルーツの便利帳
出典:高橋書店 からだにおいしい魚の便利帳
画像引用:Amazon


デザインも当然「野菜の便利帳」を踏襲したものになりますが、元祖「野菜の便利帳」が最も美しいと自分は思います。やはり野菜の彩りが落ち着きますね。 

前述したようにヒット作が出ると、いわゆる後発勢が現れます。これがなかなか面白く、切り抜き写真に説明文という、デザイン設計も概ね踏襲というスタイルがいくつか見られました。 

その中でやや衝撃だったのは、自分がリスペクトしている岡本一宣デザイン事務所で手掛けた「からだにやさしい旬の食材 野菜の本」の装丁です。


画像5

出典:講談社 からだにやさしい旬の食材 野菜の本
画像引用:講談社BOOK倶楽部


たしかにデザイン自体は違いますが、基本設計としては同じだったので、「これは名のあるデザイン事務所が制作しても踏襲しているのだから、似てるとか、真似してるという事ではなく、既に一つのデザインテンプレートとして確立したという事か…」と勝手に納得をした記憶があります。

最近は装丁デザインをする機会がないので、あまり書店で装丁をジロジロと見て、アイデアを蓄積するような事はしなくなりましたが、また機会があれば、装丁デザインやってみたいな〜っと、この記事を書きながら思いました。その時はもちろん「新しい潮流」を目指します!


From 株式会社ケイエヌ・プランニング
https://www.knpinc.co.jp/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?