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【新人デザイナー編!】制作会社の中の人が、好きな本の装丁を紹介してみた。

みなさん初めまして!

KNP最年少デザイナーのれいわくんです。僕は平成7年生まれなのですが、入社は令和なのでれいわくん。ギリギリ世間的にはZ世代ということを知り、なんかかっこいいと勝手にテンションが上がっているこの頃。

今回は好きな装丁のデザインを紹介するということで、個人的にはせっかくなので、紙の良さを推していきたいと思っているところなのです。


『いなくなれ、群青』──新潮文庫nexより

僕が取り上げるのは、新潮文庫nexから出版されている、河野裕さんの『いなくなれ、群青』という一冊。

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画像引用:河野裕/著 いなくなれ、群青 | 新刊情報既刊情報 | 新潮文庫nex

この作品は、「階段島」シリーズと呼ばれていて、2000人が住んでいる島での物語です。島には少ないが店もあり、不便ではあるがちゃんと生活ができる。そして、この島にどうやって来たのかは誰も知らない。そういった世界観で展開されていきます。人々の島に関する憶測と、突然起こった連続落書き事件。主人公の七草とセーラー服の少女、由宇の関係性が描かれながら、物語は続編へと導かれていきます。

そもそもこの新潮文庫nexというのは、新潮文庫が2014年に100周年を迎えたことを機に、「文学の新たな入り口」として創刊され、世界観に読者を引き込むキーをキャラクター性に置いた比較的新しい文庫。

また、『いなくなれ、群青』をはじめとした本の装丁フォーマットデザインを手がけるのが、デザイナーの川谷康久さんです。

細かい説明はほどほどにして、僕がこの装丁を選んだ理由としては、

①斬新なタイトルのレイアウトデザイン
②キャラクターにフォーカスした書店でも目立つ色味

の2つ思い当たります。


①斬新なタイトルのレイアウトデザイン

見てわかる通り、前面にはみ出すほどの大きさで配置されたタイトル。今ではかなり見慣れている人も多いかもしれませんが、当時はここまでダイナミックにタイトルを表紙にあしらった本はまだ少なく、少し異彩を放っていたと思います。本の装丁には、読者や著名人からのレビューや内容のポイントを広告する帯と呼ばれるものが巻かれることが多く、この帯にかからないよう、本の下段にはあまり要素を配置していない場合が多いです。

そんな中で、帯にかかってしまうことも厭わない位置までタイトルをはみ出させていることがとても印象的でした。

さらにさらに、タイトルをただ配置するだけでなく、文字の奥行きをぼかしを使って表現し、立体感を演出している点も僕の推しポイントです。「僕だったらスッと文字を流しちゃうなあ」と、見る度に少し悔しくなります・・・笑


②キャラクターにフォーカスした書店でも目立つ色味

新潮文庫nexの装丁は、「書店に平積みで並んでもなんだか少し目立つなあ」という感想を持つことも多いのですが、その秘密の一つが色味にあります。キャラクターが表紙に置かれることが多いことを想定して、実は通常の印刷のCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・キープレート=ブラック)に、蛍光ピンクの特色が追加された5色印刷を使用しているそうで、肌の色みなどが他の装丁と比べて綺麗に印刷されている気がします。

従来の"文庫本=地味"みたいなイメージを払拭するために、あらゆる方法を模索したデザインが、僕にもとっても刺さりました。


ちなみに実はこの作品、2019年9月には横浜流星さん主演で映画化もされています。Netflixなどのサブスクリプションでも解禁されているので、気になった方は是非みてみてはいかがでしょうか!

紙で見るとより印象的

昨今は電子書籍も普及してきていて、本の内容を読むだけなら画面でもなんの問題もなくなってきました。ですが、僕はやっぱり、書店に行って、目に留まった本をふと手にとって、おもわず買ってしまうみたいな、印刷された本との偶然の出会いもとっても愛おしいと思ってしまう。

だからこれからも、数は減ってしまうかもしれないけれど、紙の本を読み続けるんだろうなと思います。


From 株式会社ケイエヌ・プランニング
http://www.knpinc.co.jp/


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