見出し画像

情報を摂取するだけでは健康を害すと気づく

休みをとってから最近、また本が読めるようになりました。

かつては、毎日何かしらの本を読むほどに読書をしていたのですが、忙しくしていく中で本が読めなくなっていたのです。今日はその話。


結果がわかっていないと、早送りでインプットしない、と待ちきれなかった年収1,000万円時代

かつて私は、本を読むのが好きでした。

借りたけど読めなかったものも含めて、学生時代は図書館で本を借りたランキングで入賞していたこともあるし、図書委員をしていたこともあったくらいに。

読書メーターというサービスを開くと、200冊以上の本が登録されており、働き出してから読んだ本でさえかなりの数でした。


しかし、この数年、私はめっきり本が読めなくなりました。

本を読みたい、勉強したい、と思う気持ちは常にあったのです。

でも、本を読もうとするとそれよりも急ぎの仕事や他の雑事が気になってしまって全くページを捲れなくなってしまうのでした。


専門書やビジネス書はまだなんとか、オーディオブックなどを活用しスキマ時間に脳内にぶち込むようにしていました。

3倍以上の速度で、通勤しながら聴く。それが私の当たり前でした。

でも、本をまとまった時間をかけてしっかりと読む、そういう贅沢をする余裕はすっかりどこかに行ってしまっていたのです。

思えばいつも私には図書館があったような気がしてくる

仕事を離れてからというもの、私には時間ができました。

本当はその余った時間を仕事に投下すれば、それなりの収入にはなると思うのですが、まだ私には難しく感じてしまいます。


暇を持て余した私は、よく図書館にいくようになりました。

特に理由はありません。かつてよくやっていた習慣というか、私に馴染みのある動き方だから、ただそれだけ。

小学生の時も、中学生の時も、高校生の時も、大学生の時も、私の記憶の中には図書館が確かにあって、面白い本と出会った時の記憶とか、勉強が難しくて心が折れそうになったことを思い出すのです。

今日もこうやって、朝散歩をした後に、家の近くの図書館に行っては、こうやってnoteを書いて、読書をして、勉強をして、進められる仕事をして帰ります。


絶対なんて言えないけれど、少なくとも今の私にはこれが身の丈に合っています。

本が読めなくなっていたことに気づく

池袋のジュンク堂

ある日、私は最近勉強している資格試験の教材を買うために足を運びました。

平日のジュンク堂は、休日と比べると打って変わって人が少なくて、本が選びやすいから好きです。

レジ前に設置されている整列用のレーンも、平日はすっかり意味を成さず、ただ道を妨げる邪魔な存在に成り下がっているところも嫌いじゃありません。


「最近、どんな本が流行っているのだろう」

とおもむろに私は1階の書籍紹介コーナーに目をやります。

するとそこに置いてあったのは、三宅さんという方が書かれた『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という書籍。

「今の私にぴったりだ。ぜひ読んでみよう」

私は早速 Amazon で書籍について調べます。

新書や文庫本、小説はできる限り Kindle で読むか Audible で聴くようにしているからです。

良いのか、悪いのか、諸説や文庫本はリセールの値がつきづらく、ものを持ってしまうと手放すのが大変と私は知っています。


「Audible で聴けるのか」

私は驚きます。

書籍が Audible で最初から聞けるのは意外と珍しく、多くはしばらくして読者のニーズを見て順次公開となることがほとんど。

こんなありがたい話はない、と私は思ったのでした。早速聞いてみることにしたのです。

朝の散歩時間に、読みたかった本を聴く贅沢

私の趣味は朝散歩です。

散歩するのはだいたい1時間ほどなのですが、その間ずっと Audible を聞いています。

朗読は丁寧に読まれていることが多く、私にとっては少しゆっくり。

だから、いつも2倍速程度で聞いています。


多くの本は、3-5時間程度で収録されているので、2倍速で聴くと1.5-2.5時間程度で1冊を聴き終えます。

朝は必ず歩き、夜も余裕があれば歩くので、それだけで毎日1冊前後の本と触れ合えている計算になります。

この本は約5時間の作品。1,2日くらいで聴ききれます。


「オーディオブックだと頭に入ってこない」

そんなことを言う人とたまに出会います。

確かに本を読むときに比べて覚えていられる量が少なくなるのも実感値でわかります。

でも、読みたい本がたくさんあって、うまいことつまみ食いしたい今の私にはちょうどいいのです。

だって、本当に読みたい本なら、Audible で全部聴き終えた後に図書館で借りたり、自分で買ったりするのですから。

私が本を読めなくなっていた理由がわかった

全て聴いてみて、この本はとても面白かったです。

変わりゆく、歴史を紐解きながらその時代時代で読書が私たちとどのような関係性にあったかを解説しながら、過去から現代に向けて時代の変化を縦断的に述べていく。

そして現代では、働き方改革や新自由主義の中でノイズのない情報とノイズのある読書を対比させ、インターネットの台頭を絡ませながら読書がどうして難しくなっていったのかを解説していく。


その中で出てくる事例や提言、引用されている文献の記述などの多くが私自身をまるで述べているかのように感じてしまうほどでした。

特に、全身全霊で何かに全集中して取り組むことを賞賛し、それが美徳であるかのように感じてしまう現代の価値観に私はすっかり染まっているなと見直すきっかけとなりました。

事実、過剰に仕事に傾倒した結果、私は体調を崩し、現在に至るのですから、身につまされる想いになりました。


私は、以前のnoteでも同じようなことを書いています。

私は仕事に自分の時間を投資しすぎた、その結果仕事がうまくいかなくなると全てのものを失うような気持ちになってしまう。

だからみんなには幸せも分散してほしいと、そう思っています。

ファストフードでは健康でいられないように、情報を摂取するだけでは健康は保てない

私はかつて、インターネット上に情報を発信し、うまく伝播させ、影響を生み出すような営みをしていたことがあります。


その方法は簡単です。

ある程度惹きのあるメッセージを発信して、自分の周りの人たちに拡散をお願いすると、私の発信を震源にして波及効果が起き、発信された内容が遠くの人まで伝播するのです。

だから大切なのは、発信するコンテンツ自体がそれなりに惹きのあるものであって、初期の波をなるべく高く起こすことの2点だけです。

一度波が立ってしまえば、あとは波に身を任せるだけで遠くまで行けます。

もちろん、少しネガティブな事実を伝えるとか、ある一定以上の権威を使うとか、視覚に訴えるとか、本当にいろんなテクニックもあります。

が、基本はこれだけ。


でも、逆に波に飲み込まれる側になるととても迷惑なのです。

まるで、お腹が減っていないのに常時、甘いものを食べさせられているような感じ。

最初は痩せていた人でも、毎日ずっと甘いものを食べ続ければ太っていき、お腹はすぐに減るようになり、あらゆる食べ物を欲するようになっていきます。

次第に、劇的でその場の満足度がより高いものを好むようになります。まるで、血糖値スパイクに悩まされる現代の食生活みたいに。

そうなってしまうと、食生活を戻して健康体になるには時間がかかってしまいます。


読書もそうなのだなと思うのです。

安価でわかりやすく美味しく、見た目が映えるわけではない。

食べたところで、すぐ何かが変わるわけではなけれど、確実に体が変わっていく食べ物に近い。

ファストフードばっかり食べていると、そんな食べ物では満足できない。

もっと激烈に旨く、ハイカロリーな食べ物がほしいと思ってしまう。


でもそれではいけない。

いつか自分の体にガタが来てしまうし、健康を害してしまう。

私がそうであったように。


あらゆる物事に全身全霊をやめて半身で関わるようにしようと著者は言います。

仕事以外にもコミュニティを持つことや、複数の仕事を持つことでもいい。

全身全霊でない状態で、それでも限られた中で最高のパフォーマンスを出す。

それが大事であると。


読書というバロメーターで全身全霊度を測ってみようと思う

仕事のために人生を生きているのではない

そう言ったのは誰だったでしょうか。

かつての私にはわかりませんでしたが、今ではわかります。


読書ができなくなるのは、多分、今を生きすぎている。

何かを今すぐに解決しないといけない、今すぐ誰かの課題を解決してあげたい、と今この瞬間のために生きすぎている。

でも、現代の私たちはあと何十年も生きていくのです。


最近では、資産形成や老後などを気にして投資をする方が増えていると聞きます。

その多くは、仕事に対する不安や不満、将来に対する不安などに起因しているのでしょう

お金に加えて、自分の将来に対して読書を通じてもっと知識に投資してみようと思わされました。


課題を解決するためにその場限りの知識をつけるのではなく、将来もしかしたらどこかで話のたねになるかもしれない知識をもっとつけてみよう

そもそも何かの役に立たなくたって、自分が面白いと思うものにはもっと時間を割いてみよう。

それが読書を通じて、私たちが行なっている将来に向けた投資なのだろう、と私は思います。


「読書が今できているか」

それが私の人生のバランスを測るのにとても良いバロメーターだなんて。

なんとも面白いですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?