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37.良い問題だ!~入試問題(英語)を読む【2022年度九州大学前期日程】~

 最近は、新聞や本以外、資格試験対策で英語に触れています。
 共通テストも近づいてきました。
 そして、教育現場に従事すると言っておきながら、入試問題の傾向を知らなすぎるのもどうかと思っていたところ、この度、九州大学の入試問題(英語)を入手できたので読んでみました。

 九州大学の英語は、共創・文・教育・法・経済・理・医・歯・薬・工・芸術工・農の全ての学部で前期日程共通問題です。
 試験時間は120分。 
 大問は5つで合計200点。
 大問1、大問2、大問3(いずれも40点配点)は長文読解。
 大問4(50点)、大問5(30点)は英作文です。

 以下、一人の英語学習者として問題を読んでみた感想を述べてみます。
 過度な責任が生じないよう、問題の詳細や解答要領について深入りはしませんのでご理解ください。


1. 長文問題

 長文をすべて読んでみた印象ですが、内容が面白い!
 英検の長文のように、「へぇ~」と思いながら読み進めることができました。
 最も感心したのは、英文がとても自然であるということです。

 この”自然”とはどういうことか。

 基本レベルの教科書のように、全ての単語や前置詞まで一語一語に日本語訳をあて、それを並び替えるというような初歩的な文章ではないということです。あたりまえですが。
 そこに驚いた理由は、毎年、新聞に掲載される共通テストの英文を読んで、「日本語で文章を作成してから英語に訳したんだろうなぁ」と感じる文章が多い印象を持っていたからです。
 さすがに難関大学ともなると、英文も自然です。

 ”自然”を別の言葉で言い換えると、「生の英語である」ということです。
 逐語訳が無理な文章もあり、文章から浮かぶ映像を自然な日本語に置き換えなければ訳ができないような英文が多い印象を受けました。

 新聞の英語を読みながら、「これを教材として扱った場合、どうやって解説しようか」と悩むような表現を含む文章を多く目にします。
 塾や予備校を包括した教育現場ではこれらの文章を開設しなければならないなんて大変だなぁと感じました。
 学生を相手として、逐語訳を行う基礎レベルから、翻訳ともいえるようなレベルの間をどう取り次ぐのか。
 深く考えさせられました。

 設問も、日本語での要約、下線部訳、内容符合選択など、取り組み甲斐のある問題ばかりでした。
 受検者としては、逐語訳にとらわれず、自分が感じたまま、自らの言葉を自由に編んで訳せばよいのではないでしょうか。
 逐語訳だと、不自然な日本語になってしまう箇所があり、その結果、理解が浅いと疑われそうな気がします。
 こういった問題にがっぷり四つに組み合えれば、入学後の文献購読は割と楽ではないかと感じました。

2. 英作文

 大問4は100文字の字数制限付きの自由英作文。
 大問5は75文字のグラフを説明する問題。

 いずれも、しっかりとした論理展開を求める文字量ですので、しっかり対策を積むことが不可欠だと感じました。
 これは、ちょっと英語できます、というレベルでも高得点は厳しいのではないでしょうか。 
 下書きしながら思考を整理し、接続詞や副詞を効果的に使いつつ、自分の考えを明解に解いていくべきだと感じました。 

3. 英検準1級との難易度比較

 入試問題の知識が浅いため、他大学との比較はできませんが、英検準1級の過去問と比較してみました。
 文字量や単語の難易度からして、英検2級レベルは超えることは間違いないと感じました。
 問題の形式が違うので、適格な比較はできませんが、文字量と語彙の難易度は英検準1級の方が上回っていると感じました。
 ところが、設問の難易度は、九州大学の問題が上回っていると感じました。

4. 私ならどう対策するか

 以下、放言です。
 私なら、Z会の速読英単語を通じて、抽象的で難易度が高い語彙を含む専門性の高い文章に慣れ、できる限り多くの過去問に取り組みます。
 訳や解答の適切さを測るため、どなたかの指導を仰いだ方がタイパが良いと思います。
 模範解答を見て自分で答え合わせしにくい形式の問題ばかりなので、独学は不向きだと思います。

5. 感想

 骨のある問題だと感じました。
 時間の制限があり、文字量も多いです。
 二次試験が英語1科目なら良いのですが、他の科目も受験しなければならない学部ばかりなので、受験生として持ってるリソースをどう振り分けて試験に臨むのか、それが問題です。
 理系出身の私が勝手に想像する限り、英語が得意科目でない受験生は平均を確保しつつ、得意科目で点を稼いで合格基準点を上回る作戦になろうかと思います。
 専門家のご意見を聞いてみたいところですが、この問題で6割取れたらすごいと思います。

 以後、大学入試問題にもじっくり取り組んでいきたいと思うようになりました。
 共通テストもいよいよ数日後に迫りました。
 もし、受験される方の目に留まれば、心を鎮めて試験に臨んで、実力を発揮していただきたいと思います。