20年5月17日
いま読んでいる串田孫一「古典との対話」で、ラ・ロシュフコーの「省察と箴言」について記述があった。
「気前がいいというのは、大概は与える虚栄である。与える物よりも虚栄を選ぶというだけのことである。」
「虚栄が喋らせないと、人はほとんど喋らない。」
「人は一般に、悪意よりも虚栄のために悪口を言う。」
ラ・ロシュフコーの、人間の虚栄についての箴言。まさに若い頃の私に説教しているかのごとく、胸に刺さる。
「虚栄が喋らせないと、人はほとんど喋らない。」とは、要するに自慢話しかしない人のことを指摘した言葉だろう。確かにいる、こういう人。2,3年前に一緒に仕事をした人がこんなタイプだった。そういえば彼は悪口をたくさん言っていた。次から次へと自慢と悪口が口を衝いて出る。裏では私の悪口も言っていたようだ。
自分に自信がないのでしょうね。そう考えるとなんだか少し悲しくなってくる。だって、自慢と悪口でしか自分を飾れないのだから。
まあ、それにしてもラ・ロシュフコーの人間に対する洞察はあまりにも冷ややかで、ちょっとニヒリズムが過ぎるなあとは思います。