同上に何故なるか?___ 言葉にすると分からなくなる言葉
丁度先日まで、長い冬休みを利用し事務のバイトに従事していた時の話しです。
基本的にパソコンや書類の確認が多かったのですが、そんななかよく目にするにも関わらず、変に見えてきた表記がありました。
『同上』___上に同じ。
上記に記した内容と一致していることを示したこの言葉は、見る度に妙な違和感を感じるものでした。
『上に同じなんだから上同になるんじゃないの?』と思った訳ではありません。……いや、少しだけ思いましたが。
しかし、二字熟語に置いて漢字の配置が逆転することがままあることは分かっています。雪が降ることを降雪と書き、手を握ることを握手と書くのだと。それはわかっているのですが。違和感があったということです。
考えてみれば『同上』を常に『上に同じ』と読んで、実際の読み方を知りませんでした。
ドウミギなのか、ドウジョウなのか。どちらとしても、なんとなく歯に物が挟まったような違和感があります。
調べてみたところ『ドウジョウ』が正しい読みのようですが、やはり何だか変な気がするのです。
ほら、考えても見てください。
『ドウジョウ』という読みにはもっとスタンダードで一般的な熟語があるでしょう?
そう。同情です。
私は頭の中で『ドウジョウ』と呼ぶ度に同情と同上の意味合いが,混ざり合って変な違和感を感じていたらしいのです。
そりゃあ違和感をある訳だ。
調べてみたら同左は『ドウサ』と呼ぶのに、同右は『ドウミギ』らしいのです。
いや、音読みで統一してないのかよ、最後の最後で音訓(いわゆる重箱)読みなのかよ。などと思ってしまいました。
しかし調べていくとともに、このような『言葉にするとメジャーな方の同音異義語に脳内で置換されてしまう二字熟語』がそれなりにあるような気がしてきました。
最近、殊更強く感じるのは『貴社』でしょうか。
記者、汽車、貴社。思いつくものと『貴社』を並べてみると、この言葉だけ浮いてみえます。
一応『御社』と言う言葉にも『恩赦』がありますが、そうそう使う言葉ではありません。
そういった理由で『貴社』は書き言葉、『御社』は読み言葉としてマナーが定着したのかもしれません。
しかし、それであれば書き読みどちらも『御社』でもいいような気もします『御中』と字面が似ることを忌避したのでしょうか。よくわかりません。
高校時代、教師に聞いた「第十八族元素が希ガスか貴ガスか問題」をふと思い出しました。
名詞系列は表記揺れが激しいのかもしれません。
……さて、ここからは蛇足ですが、同級生の知り合いには 『正味』と言う熟語を好んで使う人がいます。
私も会話では『実際のところ』と前置きすることは多いのですが、その言葉を使われたのは初めてだったので愕然としました。
彼自身の言葉の癖なのかとも考えたのですが、先生の中にも好んで使っている方がいて「もしや、優秀な人間は2字熟語を使う傾向でもあるのだろうか」と思ってしまいました。
終わり。
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