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社会的インパクトの設計がしやすい組織のヒント

持続可能な社会づくり、サステナビリティ、SDGsやESGなどの言葉が広く知られるようになってきています。そうした取り組みが成果を出すためには、「インパクト」という考え方を活用することが有効です。

インパクトとは「事業や活動の結果として生じた、社会的・環境的な変化や効果」のことを指します。
事業を通じて社会に与えた具体的な影響を測定し、マネジメントしようという考え方です。最近では、金融業界を中心に企業の間でもインパクトの考え方が広まってきており、実践例もでてきています。

事業を通じてインパクトを生みだそうとするとき、取り組みやすい組織とそうでない組織の差はあるでしょうか?
実は、活用できるリソース(人手・資金)が豊富で何でもできる組織よりも、比較的制約がある組織の方が、インパクトの設計(インパクトデザイン)がしやすい側面があります。例えば、営利の企業よりもリソースが少ない非営利組織から、優れたインパクトデザインが多く生まれています。その理由として、以下のものが考えられます。

「理想の世界像」から実現に向けた設計図を描く

インパクトデザインを始めるには、まず、「何を目指すのか」という「意図」を明確にする必要があります。
非営利組織は、解決したい社会課題、助けたい具体的な人々の存在などが組織設立の理由・きっかけになっている例が多く見られ、それらに基づいて「実現したい世界像」(ビジョン)を描きます。
その世界像は、言わば現実にはあまり存在しないような「理想の世界像」だったりするのですが、理想を描くことで、その実現に向けた「設計図」が描けるようになり、あらゆる組織活動、意思決定の礎となります。

効率的に成果を出す事業設計

非営利組織の多くは、営利企業に比べてリソース(人手・資金)に制約があり、限られたリソースをいかに効率的に活用するかを考える必要があります。ゆえに、目指す課題解決に向けて最も効果が出ると思われる活動に焦点を絞ります。
また、パートナーや関係者を上手に巻き込み、これらのパートナーや関係者が持つリソースやノウハウを活用するなど、「少ないリソースで成果が出る方法」を考えることになります。それが結果的に、インパクトの実現に向けた効率的・効果的な事業の設計に結び付く、と言うことができるでしょう。

事業の成果の可視化と報告

一般的に、非営利組織の主な財源は、助成金、補助金などの公的資金や、寄付金です。これらの資金を提供する行政や寄付者の一番の関心事は、「出したお金が本当に役に立ったかどうか」です。
資金を使って実施した事業がきちんと成果を出すことができたのかを誰にでも分かる形で示す必要があるため、多くの非営利組織は、目指す成果を明確にし、指標の形で達成できたかどうかを測定・確認するのです。

まとめ

「インパクトの設計がしやすい組織の特徴」を考察してみました。イメージがしやすいよう、リソースの制約が大きい組織として、非営利組織を例に出しつつご説明しましたが、これら3つの特徴は非営利組織でしか活用できない観点ではありません。営利の企業でも、目指す「理想の姿」を明確にした上で、効率重視で事業設計を行い、社内での説明責任を果たすために事業の成果を可視化することで、優れたインパクトデザインが可能です。

SDGsやESG、サステナビリティなどの文脈で、これから自社でインパクトを意識した事業を行おうとされる企業の方に、本記事がお役に立てば幸いです。

筆者のTwitterでは、インパクトに関する企業の取り組みを紹介していますので、よろしければご覧ください。

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