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社会課題解決型ビジネスの成果を可視化~インパクト測定・マネジメントよるアプローチ~

はじめに

近年、企業の「本業による社会貢献」や「ビジネスを通じた社会課題解決」が謳われるようになり、実際に社会貢献や社会課題の解決を目指す事業に取り組む企業も増えてきています。
 
一方、社会にポジティブな変化をもたらすという視点で事業を計画することは、営利企業にとっては馴染みが薄いこともあり「始めてはみたものの、本当に成果が出ているのか?」「そもそも、社会課題解決型の事業はどのように立案するのか?」といったことで悩んだり、スッキリしない思いを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
今回の記事では、社会課題解決を目指す企業の事業において、社会課題が狙った通りに解決されているかという視点からのPDCAをどのように回すことができるか、その際にインパクト測定・マネジメント(以下「IMM」)の手法がどのように役に立つのかについてお伝えしたいと思います。

「何をやったか」VS「どのような変化が生まれたか」

社会課題解決型ビジネスにおける成果とは「何をやったか」ではなくて「どのような変化が、どれくらい生まれたか」です。
例えば、「保育園に病気の子どもを預けることができない」という課題を解決したいとします。「病児保育のサービスを提供する」は「何をやったか」ですが、「安心して病気の子どもを預けて働ける母親が〇〇人・〇〇%増えた」は、「どのような変化がどれくらい生まれたか」を示すものになります。こうした変化を私たちはインパクトと呼んでいます。

社会課題解決型事業におけるPDCA

どのような変化がどれくらい生まれたのかを測定したい、「見える化」したいという場合に、測定するためにはまず計画が必要ということをお伝えしたいと思います。企業活動における財務面のPDCAがまず「計画ありき」なのと同様、IMMでも計画が重要です。

目指す成果を明確にする

計画の第一歩は、目指す成果(ゴール)を明確に、かつ具体的にすることです。ポイントは「誰が」「どのような状態」になっていることを目指すのかを具体的にすることです。上述の保育園の例では「母親が安心して病気の子どもを預けて働ける」ことを目指すのか、逆に「子どもが病気の時に母親が安心して仕事を休める」ことを目指すのかで、成果(ゴール)の設定、活動、指標すべてが変わってきます。

途中の変化を設計する

次に、目指す変化(ゴール)に到達するまでの途中の経過として、どのような変化が必要か?を考えます。現状とゴールの間のギャップを埋める作業、とも言えます。この時「こういう変化が起これば、次に目指す成果につながるはず」というロジックを活用します。
 
上述の例では、「母親が安心して病気の子どもを預けて働ける」ことを目指す場合、途中の変化は、「クオリティの高い病児保育サービスが増加している」「病児保育サービス利用の(経済的)サポートを提供する職場が増えている」などかもしれません。
 
「子どもが病気の時に母親が安心して仕事を休める」ことを目指す場合は、「職場での不意の不在をカバーするサービスが普及している」「子どもが病気の時に職員が休むことや、不在サービスを利用することについて職場の理解が得られている」などの変化が必要になるかもしれません。

変化を生み出すための活動を計画する

目指す成果とそこに到達するまでの途中の変化が明確になったら、その変化を生み出すために効果的と思われる活動を検討していきます。活動ありきではなく、目指すものを明確にし、そのために必要な活動を考える、という順序が肝とも言えます。

指標を設定する

成果に至る途中の変化が生まれているかどうか、そのための活動が実践されているかどうかを測るための指標を設定します。

PDCAの「DCA」

このような形で計画が整ったら、活動を実践しながら指標を取得し、定期的に指標の値を確認する段階に入ります。指標の値(実績)をみて目指す変化が生まれていないと判断された場合は、設定した指標が適切か、設計の仮説が適切かなどを検証しながら、必要に応じた軌道修正を行います。

おわりに

社会課題解決型ビジネスにおいて真に成果を出すために、そしてその成果を客観的な形で見える化するために、IMMが有効であることをお伝えしました。
IMMについてもう少し知ってみたい、採り入れてみたい、と思っていただければ嬉しいです。
 
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皆様の事業の成功を祈って。


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