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Thank you Jackson.

ザンビアの孤児院で仲良くなった16歳の男の子。
名前はジャクソン。


3つのあいさつを教えてくれた彼とは、
少しの英語と3つのあいさつ、そして心で通じ合っていた。



ある日、「僕の過去を話してあげるよ」と言われた。

この孤児院には、ストリートから保護された子供たちが暮らしている。
もちろん16歳の彼も、少し前までストーリーチルドレンだった。

それは、分かっていた。
分かっていたはずだったけど、
話を聞くのが怖くなってしまった。

無邪気で明るくてとっても優しい彼を目の当たりにして
その過去に向き合える自信がなかったから。




彼の過去の話を聞くまで、2日かかった。

それだけ心の準備が必要で、
それだけ真剣に彼と向き合いたくて、
それだけ仲が深まっていた。




英語の苦手な彼は、通訳してくれる友達を連れて、丁寧に話をしてくれた。

全てを話し終えて、「僕に質問はある?」と言った。

1つだけ質問をした。
どうしても聞きたかったたった1つのこと。


"Jackson, are you happy now?"




返ってきた言葉は

"I'm happy now!."



ただただ嬉しかった。

辛い過去を歩んできた彼の口から出た「幸せ」って言葉に安心して、私までも幸せな気持ちになった。



今度は彼にこんな質問をされた。
「かなみの大切にしていることは何?」



私はこう答えた。

「良い出来事も、悪い出来事も、全てのことは自分を成長させて、強くしてくれる。Everything it's okay. って思うことを大切にしてるよ」



神への信仰が強い彼にとって、
神に頼るのではなく自分に起こることを信じる
この考え方が少しだけ新鮮だったのかもしれない。


この日から、Everything it's okay. が私たちの合言葉になった。




別れが近づいたある夜、お互いに感謝を伝えた。



「僕を幸せにしてくれてありがとう」

彼が私に伝えてくれた感謝の言葉。
彼が今幸せである理由の1つに自分がいれた。
それがただ嬉しかった。



私がここに来て、彼と出会い
たくさん与えられてばかりだった。
嬉しかったけど、もどかしかった。

この言葉を聞いて、
私からも彼に与えられたものがあった。
そんな事実がただひたすらに嬉しかった。





最終日、彼からもらった手紙にはこの言葉が書いてあった。

everything it's okay







お互い英語が苦手だから、
言葉ではなく心で繋がっていた。

心があれば通じ合える。
そんなことを感じた日々だった。



彼の前で3回も泣いた。
いつも、Don't cry! Be strong! って声をかけてくれた。

将来の夢はエンジニア。
お金をたくさん稼いでお母さんに家をプレゼントしたいって。

強くて優しくてまっすぐで、
そんな彼に出会えたことが何よりも嬉しくて、
ずっと幸せでいてほしくて、
力になりたくて。




"I want to be with you forever in my life. But I don't know what you think."

手紙にこんなことが書いてあったのを見て思った。

私にできることは、
いつまでも、彼と心で繋がっていることなんだ。


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