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なぜキャッシュはショートするのか

こんにちは、ナレッジラボCEOの国見です。

やりたいことに対してキャッシュが十分にあるという会社ってほとんどないですよね。多くの会社が限られたキャッシュをいかにうまく使って事業を回していくか、という課題と常に付き合っているんじゃないかと思います。

この課題と付き合っているにもかかわらず、ベンチャー企業であっても業歴が長い会社であっても資金が足りなくなってしまって事業継続が危うくなる会社を多く見てきました。

いろいろな要因があるのですが、キャッシュがショートしてしまった会社には共通の特徴があるんじゃないかなと思っていて、今回はその共通点を整理してみます。

売上を予測する仕組みがない

まず、キャッシュがショートしがちな会社の特徴として、近い将来、例えば来月、再来月の売上がどれくらい見込めるのかを予測する仕組みがなかったり、うまく回っていないという点があります。
個別案件ごとの見込みや受注状況は見えていても、それらを合計した時に「来月のトータル売上がいくら見込めるのか」を集計する仕組みがないことで

・来月、いくらコスト使えるのか?
・必要な投資をするための売上が足りているのか?
・あとどれくらいの売上が必要なのか?

が見えていないのです。

多くの会社で、みんなが毎日忙しく過ごしていて、経営者の耳には「商談がうまくいった」とか「受注できた!」といういい情報が多めに入ってくるので、十分な売上があるだろうという思い込みのもとでコストを過大にかけてしまい、キャッシュが足りなくなることがよくあります。

バーンレートが見えていない

次は支出サイドです。

キャッシュのバランスが崩れがちな会社では、毎月発生するコスト、いわゆるバーンレートが十分に把握できていないということがよくあります。

バーンレートを把握するためには毎月の会計処理が大事になります。
毎月の帳簿作成をタイムリーに行って、できるだけ早く試算表を確認することで毎月のコストを知ることでバーンレートを把握できますが、会計が後回しになって試算表の作成が1、2ヶ月遅れたりすると足元の正確なバーンレートが把握できなくなります
中には決算の時しか試算表を作らないという会社にも出会ったことがありますが、そんな会社はまず正確なバーンレートはわからないと思います。

足元の正確なバーンレートを把握し、少し先の売上を予測する仕組みを作るだけで、キャッシュがショートするリスクを大きく下げることができます

ROIに無頓着

次にキャッシュの効率性についてです。

たくさんある選択肢の中からこれだと思うものにキャッシュを投資して、成果として得られた収入でキャッシュを増やしていくというのが基本です。
しかし、キャッシュがショートしがちな会社では、投資したキャッシュから想定した成果が得られているかどうかという投資の費用対効果(ROI)の測定に十分にできていないというケースがよくあります。

ROIを測定するために必要となるのが、投資をする前の目標設定です。
業種・業界によってさまざまな指標があって、ROIの測定についての詳細は別の機会にまとめたいと思いますが、今回のテーマであるキャッシュを守るために最低限やるべきROIの測定としては、金額ベースの目標と成果測定です。

やり方はいろいろあると思いますが、例えば月次予算の中で分析する場合は「広告費用を100万円かけることによって今月の売上目標である1,000万円を達成するために必要な新規商談を50件獲得できたか?」というような検証ができているかどうかです。

このような検証をそれぞれの事業領域や部門で行うことによって、結果として収入とバーンレートのバランスが取れてくるようになり、キャッシュフローが改善していきます。

債権債務の管理ができていない

最後にフロー目線ではなくストック目線の話として、債権債務管理です。

会計上の売上は請求書を発行した時点で計上されることが多いですが、実際にキャッシュとして入金されるのは、顧客から請求書の支払期日に合わせて振込があった時です。このズレを管理するのが債権管理です。

実は、請求書を多く発行している会社については、債権管理ができていないことでキャッシュフローが悪化することがあるのです。

例えば、「請求書を発行していたけど顧客からの入金が期日から遅れていた」という場合は、売上は計上されているけどキャッシュは増えていないということになりますし、さらに債権管理をしていなければ「入金が遅れている」ということにすら気が付かないことも多いので、とても危険な状態になります

毎月の試算表から「売掛金」や「未収入金」などを月次推移として追いかけて、売上の伸び以上に売掛金や未収入金が増えている場合は要注意です。

キャッシュのことを知ればショートしない

このように、売上を予測できる形を作り、バーンレートを把握し、ROIに重きをおきながら、債権債務の管理にも手を入れていけば、キャッシュがショートするリスクを大きく下げることができます

これらができれば、事業のキャッシュがかなり見えてくるようになります。

事業の継続をさせながら事業を成長させるために、これらの4点はめちゃ大事なポイントになりますので、ぜひ取り組んでみてください。





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