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新しいクラスメイト

高校3年、
彼は私たちのクラスにやってきた。
と言っても、転入してきたわけではない。

私のいたクラスは
いわゆる〝ガリ勉クラス〟で
3年間殆どのメンバーは固定なのだが、

成績の良し悪しに応じて
毎年2、3人入れ替わりがあった。
彼はそのうちの1人だった。

〝ガリ勉クラス〟には
いないタイプの男子だった。
お洒落で何処か都会っぽくて、
「自分を持ってる」感じがした。

そんな彼のことが、私は最初怖かった。
下ネタで盛り上がる普通の男子たちのほうが
よっぽどわかりやすくて関わりやすかった。

だから、最初の数ヶ月は話すこともなかった。

それがちょっとしたことから
大きく変わったのである。

行きつけの美容院で髪を切っていると、
「この後、〇(私)ちゃんと
同じクラスの子来るよ!誰でしょう〜?」
と突然美容師さんに言われた。

当然、私の頭に浮かぶのは
クラスの女子生徒たちの顔だった。

それもそのはず、
〝ガリ勉クラス〟の男子の多くは
床屋ユーザーだということを
私は知っていたからである。

「〇〇ちゃんかな?□□かな?誰だろう?」
そんな風に思考を巡らせていると、
美容院のドアが開いた。

「こんにちは」
振り向くとそこには、
彼がいた。新しいクラスメイトの彼だった。

正直少し気まずかったのだが
「え、ここなんだ!奇遇だね!」
とまあ無難な挨拶をして
そそくさとお会計をし、店を出た。

それをきっかけに、
次の日から私たちは少しずつ話すようになった。

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