コーヒーについて
コーヒーは美味い。いや、美味いのかどうなのか、もはやよく分からない。
飲む行為は、テレビを見たり、トイレに行くことぐらい日常に溶け込んでいる。仕事前に、仕事中に、仕事終わりに、黒くて苦い液体を飲む。
カフェインによる脳の冴えは、慣れなのか麻痺なのか、とうに感じられなくなってしまった。それでいても、やはり飲まないことには落ち着かない。
コーヒーと私の支配関係は完全に逆転している。
中毒は怖い。「毒」という字面が怖い。
しかも、あんなに毒々しい見た目なのに、
コーヒーそのものを指している言葉でないことが怖い。
毒は、私の脳内にある。
用を足す時、尿が澄んでいることにいつも違和感を覚える。
本来ならば真っ黒なものが出てくるべきではないのか。
体内をただ通り抜けていくだけならば、どこか罪悪感も少ない気がするのに。
幸か不幸か私の身体が正常に作動して、濁りを全て濾し取ってしまう。
抽出後のフィルターを捨てる私自身もまたフィルターなのだ。
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