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僕らは宛らロードムービー

久々の投稿。
見てくれていた方達も息災だろうか。
色々と落ち着いて来たのでまた徒然と。

僕らは文字通り旅に出ていたんだけれど
それはまた別の機会に細々と。

今日はそんな旅の映画を勿論彼女と観てきた。

ボーンズ アンド オール

『君の名前で僕を呼んで』で有名な
ルカ・グァダニーノ監督とティモシー・シャラメ
の再タッグとの触れ込みで宣伝されていた映画。
ちなみに僕は君の名前で〜という作品はまだ観ていない。

食人衝動というマイノリティを抱えた18歳の女の子が主人公の物語だ。旅先で出会う同じ症状の男性(のちの主人公の好きぴ)をティモシー・シャラメが演じていた。

始まって早々油絵ドアップ。
セリフもなしに、ただ音楽と共に絵が淡々と差し替えられていく。緑の山々を縫う様にして空を走る高圧電線とそれを繋ぐ鉄塔。同じ画題の絵が数枚流れた後、やっと友人が主人公に話しかける。

『ねぇ、今日親が帰って来ないのなら家にお泊まりパーティーにおいでよ。友達もできるよ』

どこか内気な雰囲気を漂わせる主人公は俯き加減で嬉しそうに『行けたら行くわ』的な大学生ノリ。でもこの行けたら行くわはどうにかして行くタイプの行けたら行くわ。だった。

学校も終わり家に帰った主人公。
母親はおらず、父と二人暮らしの模様。
様々終えて寝る支度をする際に父が見ていないのを見計らってこっそりとマイナスドライバーを持ち出します。

そう。この子、親に黙って前記のパーリーにお忍び参加しようとしてます。お父さんにおやすみを伝えて自室に戻り、親が眠るのを待って窓から外へ。そのまま友人宅へと向かうのでした。

その後友人宅ではガラス張りのテーブルの下へ潜り込み、このパーリーに誘ってくれた子とお喋り。このカット構成がめちゃくちゃ面白かった。
ガラス張りのテーブルの真上からその下で話す2人を撮ってるんだけれど、これがまた"見えている"のに閉鎖的。まるで衝動を抑圧されている主人公の内面を表しているかの様で素晴らしかった。

これは作品を通して言える事だけどそこここにクィア的要素が散りばめられていて、この友人との会話もまさしく距離感がただの友達では無い。ティーン特有の定まらない関係性が見事に表現されていました。

んで、食べます。指を。友人の指を。バリッと。

何やかんやあって主人公は逃避行。
その最中ティモシー・シャラメ演じる男の子に出会う訳ですな。そこから2人は主人公の母親に会うために旅を始めて行く訳なんですが。


前記の通り僕と彼女は約8ヶ月間旅をしていました。旅というより修行と行った方が良いのかもしれない。各地を転々としながら毎日を忙しなく過ごしていました。

そういう毎日なのでお互いにストレスが凄い。当然喧嘩になる訳です。本当に些細な事で歪み合ったりしていました。8ヶ月ほぼ毎日何も起こらない日が無い。いつ終わるとも知れない旅でした。

この映画の2人を見ているとまるでその旅の最中の僕らの様だな、なんて思ったんです。先の見えない旅路を2人きりでどうにか歩いて行く。どうしようもないマイノリティと抑圧されたフラストレーションを抱えながら。ただ2人の幸せを願って。

2人とも2人で幸せになろうとしている気持ちは同じはずなのにぶつかり合う。すれ違う。
どう形容するのか本当に分からない状態。
ただ、それを超えて今この映画を見て改めて、旅を終えても2人で居られることの有り難みを痛い程感じている所です。

この少し風変わりなロードムービーなラブロマンスは旅を終えた僕らに、あなた達の旅は幸せだったでしょ?と教えてくれている様でした。

一度終えた旅だけれど、まだまだこの先2人で色んな景色を見に行きたいなと。そうも思わせてくれる映画でした。

今日はここまで。
んじゃ、また!

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