【ちいさな1 絵本レビュー】
アン・ランド&ポール・ランド 作
谷川俊太郎 訳
ほるぷ出版
【並べて楽しい絵本の世界】
絵本を手にするときは、直観で手をのばします。
小さな子どもたちも、そう。
まだ字が読めない子が、文字だけの背表紙が並ぶ本棚から、持ってくることができます。おとなになった読書好きは、お気に入りの背表紙だけをながめていても、しあわせ。
昨日、友人と「どんなコワイ夢を見る?」
という話題になって、わたしが繰り返し見る、迷子になる夢の話をしました。
そして、今朝、このちいさなかわいらしい1さんにすっと手がのびて、取り出しました。
絵本の記憶は、とても心の深いところに眠っていました。
ちいさな1さんが、ひとりぼっちで、ともだちをさがす おはなしです。
赤い三角帽子をかぶって、赤いリボンネクタイをつけた、ちいさな1。
お皿の上にふたり並んだ「なし」のところへ行って話しかけても、
「3になったら、きゅうくつ」と言われてしまいます。
つぎに、ひなたぼっこしている 3とうの ぬいぐるみのくまに話しかけてみるまでもない。4になったら ますます きゅうくつ・・・
5の はち にも怒られ、6の あり にも無視されて、1はさみしくてしかたがない。だあれも こっちを見てもくれない。
このさみしい気持ちが、コワイ迷子の夢に とってもよく似ていたのです。
無意識に絵本を手にして気づきました。
ひとりぼっちを淋しいと感じることを、おとなになった自分は封印してきたのかもしれません。自分には好きなものがたくさんあるし、仕事もあるし、やりたいこともたくさんある。いろんなモノを持っているし、夢もある。
でも、封印しているだけで、心の奥深くにいつも1さんを持っていて、自分が何かになること、誰かと仲間になることを望んでいるのに。
こんな気持ちをいつもどこかに抱えていて、外に出せないその気持ちを抱えて寝れば、コワイ迷子の夢をみていました。
絵本のなかで、1さんは真っ赤な輪っかにであいます。
にこにこ笑顔の輪っかは、ゼロ。
となりに並ぶと?
「どこにでもいる ちいさな1たちに」と最初に書かれています。
カラフルでスタイリッシュな絵本です。
今日、この絵本に再会できてよかった。
大人にもおすすめです。もちろん、小さな人たちもきっと最後ににっこりしてくれます。
絵本は、私にとっていつも こころを癒してくれる処方箋です
お読みいただきありがとうございます。
みなさんの今日も一日良い日になりますように。
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