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ラスムス・ブライスタイン『The Bridal Party in Hardanger』ハルダンゲルフィヨルドの自然の下で
ノルウェー無声映画期の代表作であるだけでなく、ノルウェーの視覚的/文化的な歴史においても重要な作品。1905年にスウェーデンから独立したノルウェーでは、多くの人々にとって国家のアイデンティティ問題は重要な命題の一つであり、若い世代の芸術家たちは積極的にこの問題に取り組んだ。ラスムス・ブライスタインもその一人だった。ノルウェー文学を映画化して成功を収める海外の映画製作者たちに飽き飽きしていた彼は、ノルウェー演劇界の才能を結集して自分たちの主張を映像世界にぶちまけることにした。発
カール・テオドア・ドライヤー『The Bride of Glomdal (グロムダールの花嫁)』ドライヤー版ロミオとジュリエット
ドライヤーが好きすぎて堪らない人間からすれば、彼の少ない作品群を先に見てしまうか後までとっておくか非常に悩ましいところである。私は『裁かるるジャンヌ』『吸血鬼』を見て以降それ以外は見ないように努めいていたが、日本で円盤の出回っていない本作品は私の中のドライヤー神格化を進める鑑賞三作目として最適だったと言い切れる。 主人公トーレは奉公から戻り、経営縮小した家族の農場を引き継ぐ。若いエネルギーを使って河の反対側にある大きなグロムガーデン農場(奉公先)のようにしようとする。グロム