20231021

 朝外に出ると、肌寒さを感じた。昨日は心地よかった風も冷たかった。冬が近づいている。近所の公園を歩いても紅葉が広がり、落ち葉も増えて道の端に積もっていたりする。外に出て、身体を動かしたりするのには丁度いい。気温で体力を奪われないので、何かに集中するのにもいい環境ではあるのだろう。スポーツの秋、読書の秋、とはよく言ったものだ。
 そういうわけで、というと何だが、ヨルゴス・ランティモス監督の『聖なる鹿殺し』を観た。『籠の中の乙女』と『ロブスター』を観ていたが、独自の世界観で奇妙な映画を撮る監督だ。今作も例に漏れず変な映画だった。妻と娘、息子を持つ心臓外科医が飲酒して手術を担当した男を死なせてしまい、医療過誤の遺族である男の息子に良心の呵責から病院外で会うようになっている状況から話は始まる。遺族の息子は病院に現れたり、次第に心臓外科医につきまとうようになり、外科医は時計をプレゼントしたり、家族に会わせたりして彼をどうにか遠ざけようとする。ある日、息子の下半身が動かなくなる原因不明の様態に陥る。遺族の息子は外科医の病院で、家族の内誰か一人の命を捧げなければ、全員が死ぬ、と奇妙な言動を残して去る。そのうち、娘も下半身が動かなくなり、外科医の家族が崩壊していく。遺族の息子役を演じたバリー・コーガンの怪演が素晴らしい。全体的に不穏な空気で、狂ってないのに、全てが微妙にずれているリアリティがある。ただ、自分は『ロブスター』のような幻想的な要素が入っている世界観の方が好みだった。ランティモスの最新作『哀れなるものたち』は、SF要素もあって、恐らくそちらよりの世界観っぽいので楽しみである。

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