20240219

 諏訪哲史『アサッテの人』(講談社文庫)を読んだ。群像新人賞受賞作であり、「第137回芥川龍之介賞」受賞作。彼の著作は初めて読んだが、かなり面白くて読む手が止まらず、あっという間に読んでしまった。失踪した叔父について、作者が小説を書くことをそのまま書き記した作品。いわゆる「メタフィクション」として一般的に想像される作風なのだが、文庫版のあとがきで諏訪は、メタフィクションに対するアンチテーゼとして書かれたものだと語っている。いま、わたしがあらゆる物語化、フィクションについてとても違和感を覚えていることもあり、彼の言説には激しく首肯した。誕生日プレゼントとして貰ったものなので、大変ありがたい経験になった。

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