20230201

 晴れたが、風が冷たい日だった。渋谷でようやく新海誠監督の最新作映画『すずめの戸締り』を鑑賞した。村上春樹の『神の子たちはみな踊る』に収録されている「かえるくん東京を救う」をベースに東日本大震災で四歳で母親を亡くしたすずめを主人公にして天皇や仏教の価値観を新海なりに混ぜ合わせたような話だった。正直、彼の自然観とは相容れないので物語に入り込むことができなかった。人間観にたいしては若干これまでより進化した気がする。しかし、かなり意図的に父権的象徴を排除していたところに違和感を感じたし、彼自身のアイデンティティーはやはり中二的なところにあるのだなと思った。それでも、『天気の子』で見せたボーイミーツガールのセカイ系よりは構造的に練られたものになっていたので、そこだけは評価したい。

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