20240624

 ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』が文庫化される。架空の村「マコンド」のブエンディア家の興隆と消失を描くラテンアメリカ文学の金字塔。わたしも二回読んでいるが、二度ともとても面白く読んだ。所属する同人の破滅派主宰である高橋文樹氏の『アウレリャーノがやって来る』(破滅派)でもこの作品は印象的に登場する。タイトルの「アウレリャーノ」は小説内の登場人物に何度も名付けられる名前だ。さらに、わたしの掌編「海浜公園建設予定地」が掲載されている文芸誌『代わりに読む人1創刊号』(代わりに読む人)の編集・発行人である友田とん氏の原点となる同人誌『『百年の孤独』を代わりに読む』もハヤカワ文庫から文庫化される。わたしが友田氏のことを知ったのはちょうど同人誌が界隈で有名になっていた時で、そのときはまだ『百年の孤独』を読んでいなかったが、同じ名前の人物がいっぱい出てくるという情報を聞いて一体どんな小説なんだ? と思っていた。『『百年の孤独』を代わりに読む』は文字通り、『百年の孤独』を読みながら友田氏が思い入れのあるテレビドラマや映画、生活の中で起こったことなどを連想しつつ脱線していく奇妙な読み心地のする本だ。しかし、いま振り返るとマルケスがわたしが文学的活動で大きな転機となる人物二人――現代文学にラテンアメリカ文学が与えた影響を考えれば当然の帰結であるが――とわたしを繋ぐ大きなハブとなっていることを考えれば、人生自体が『『百年の孤独』を代わりに読む』の読後感と同じようなものなのかもしれない。

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