20240502

 雲の多い空模様だったが、晴れ間も出て雨は降らなかった。ゴールデンウィークの後半が明日から始まるからか、街行く人々の足取りが軽いように見える。自分は何も関係ないので普段行く場所の人出が多いと結構げんなりする。
 ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』(小尾芙佐訳、ハヤカワ文庫NV)を読んだ。もはやSF界では古典と言っていいほど世界中で長く読まれている作品で、わたしも何となくそのあらすじは知っていたが、実際に読んでみてそのイメージとのギャップに驚いた。もっと優しい世界を想像していたが、かなり不条理で救いのない話だった。版を重ねた新装版にはダニエル・キイスが日本の読者に向けて書いたまえがきが付されている。いじめられていた少女がまた生きる希望を持ったといった内容の手紙への返答が書かれており、感動的なのは確かだ。しかし、チャーリー・ゴードンのセクシャリティの問題、母との確執、社会のヒエラルキーなど現代社会の抱える問題を包括した重めの内容であまり子ども向けではないように感じた。とはいえ、多感な十代に読むと人生の一冊になりそうな気はする。

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