20221021

 快晴。昨日よりも空気は柔らかく過ごしやすい一日。こういう天気が続けばいいが。イグBFC3は三日目。F、G、Hグループが発表された。注目はHグループか。昨年ジャッジで参加された商業デビューもしている寒竹氏、文芸実況を主宰するハギワラ氏、惑星と口笛を主宰する西崎憲氏、BFC本戦ファイターにもなった短歌読む千住氏という強豪が揃い組となった。今日はDとEグループを読んだ。Dは田中目八「へんじがないただのバナナのやうだ」に一票。わかる人にはわかるタイトル、これはエニックス(現在のスクウェア・エニックス)の名作RPG『ドラゴンクエスト』における、フィールド上の骸骨を調べて何もアイテムが見つからなかった場合に「返事がない、ただのしかばねのようだ」というコメントが画面上に現れるパロディだと思われる。内容も異世界転生ものを思わせるもので、それが俳句として詠まれ連句となることで独自の世界観を表している。Eでは、エンプティ・オーブン「しろくま」に一票。――しろくまです。――から始まる散文で、わたしはお笑い芸人のヒロシのおなじみのネタを思い浮かべながら読んでいたが、途中で居眠りをしたり、最後は宇宙へと飛び出す壮大な展開で、いい意味で裏切られた。なんともイグらしい作品。フォークナーを読んで、次は中上健次の『岬』(文春文庫)を読んでいる。「黄金比の朝」「火宅」と「岬」の前に書かれた短編を読むと、やはり中上は自身の複雑な出生を繰り返し小説内に落とし込もうとしていることが分かる。それが熊野サーガの「岬」へと昇華されたのだろう。もちろん、そこにはフォークナーの多大な影響を感じさせる。「火宅」などは「納屋」を想起させる。村上春樹の「納屋を燃やす」もそうだが、時代性も関連しているのかもしれない。

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