20221105
本日も快晴なり。昼に地元の友人が車で会いに来てくれた。二人で南部から市の中央へと向かった。彼とは高校時代からの友人で、長い付き合いになる。彼と会ったのはもう八年か九年前。少しやせて伸びた髪には白いものも目立っていた。彼の近況を聞き、わたしの近況を話し、車は長崎市の大波止に位置する商業施設「夢彩都」に到着。そこから長崎市の西へと、徒歩で街中を歩く。歩けば汗ばむほどの陽気だった。わたしは上着を脱ぎ、赤いパーカの袖を捲った。わたしの記憶の街並みと眼前に現れる景色を一致させるのに多少時間がかかり、何を話したのかも忘れてしまった。長崎の街中を走る路面電車、わたしたちはその車両が鳴らす音から"ちんちん"電車と呼ぶそれが車庫へと入っていく駅を有する蛍茶屋に訪れた。そこでわたしの寄稿している「犬と街灯」さんの発刊している美術館ZINE『みんなの美術館』や、島アンソロジー『貝楼諸島より』を置いている独立系個人書店「本屋ウニとスカッシュ」さんにお邪魔した。それから、歩いて中通りにある長崎関連の書籍を特に取り扱う「ブック船長」へ。さらに大波止に戻り、思想書などを中心に取り扱う「Books ライデン」に赴いた。それぞれの店舗がそれぞれの色を出していて、わたしの知らないうちに長崎も変わったのだなと実感した。最後にオランダ坂に面する児童書を取り扱う「児童館」を訪れた。煉瓦造りで蔦が外壁を覆う趣深い書店で、メルヘンという言葉がピッタリだった。再び夢彩都に戻り、もう一人の友人と合流して中華料理を食べた。彼と再会したのも久しぶりだったが、相変わらずの見た目であった。高校時代の知り合いの近況などを聞き――だれが結婚しただの、子どもが中学生になっただの、仕事の話だの――辛い麻婆豆腐を食べて水を飲んで餃子を食べた。しかし、その彼も三児の父で、もう一人も二児の父である。なんだか、わたしの時間だけが高校の時から止まっているようだった。
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