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(絵本)イギリス民話原作 三びきの子ブタ

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むかしむかしのお話。動物たちが森で騒いでいた大昔のお話。貧乏なおばさんブタは三びきの子ブタとくらしていましたが、とうとう食べ物がなくなってしまいました。『みんな、この家にはもう食べ物がありません。家を出て、それぞれ自分で家をたてて、たのしく幸せにくらしてください』子ブタたちはしょんぼり家を出て、三びき別れてトボトボと森へ歩き始めました。

のんびり屋さんの青服の子ブタは、優しい農夫にワラをもらって家を作りました。すると一匹のオオカミが戸を叩きました。『子ブタさん、ぼくをお家に入れておくれ。』『え、、いやだよ。ぜったいに戸はあけないよ」オオカミはニヤリと笑い、『ああ、そうかい。それならこんな家フーっとふきとばしてやる!』オオカミは”フー”っとひと吹きで”ワラのいえ”を吹き飛ばし、青服の子ブタをパクリと一口で食べてしまいました。

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こわがり屋さんの赤服の子ブタは、優しい木こりから”針エニシダ”という木の”針がある小枝”をたくさんもらい、しっかりとした家をつくりました。するとオオカミがやってきました。『子ブタさん、戸を開けてくれよ。中に入れてくださいよ』こわがりやさんの赤服の子ブタはブルブルとふるえながら言いました。『いやだよ、戸はあけないよ』おこったオオカミはおおきく息を吸い込むと、”フィー”っと”針エニシダ”の小枝のお家を一吹きで吹き飛ばし、ガブリと一口で赤服の子ブタを食べてしまいました。

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かしこくて用心深い黄服の子ブタは、大工さんからレンガをもらってじょうぶなお家をつくりました。オオカミがやってきて言いました。『子ブタさんお家に入れてくださいな。いっしょにごはんを食べましょう』黄服の子ブタは少しかんがえてからいいました。『戸はあけないよ。かえってください』するとおこったオオカミは大きくいきを吸い込んで”ブー”といきを吹きました。でもじょうぶなレンガのお家はびくともしませんでした。オオカミはもう一度”フーフィー”と息を吹きましたが、どうしてもレンガの家を吹き飛ばすことができません。するとオオカミはいいました。『子ブタさん、ぼくはおいしいカブがたくさん食べれる畑をしってるんだ。森の向こうの畑です。あしたの朝6時に一緒にとりにいきませんか』黄服の子ブタはおなかがすいていましたので『わかりました、つれていってくださいな。あす朝6時にまってます』といいました。

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次の日の朝、子ブタは5時におきて、森のむこうの畑にでむき、たくさんカブをとりました。そうしてオオカミが来る前に、急いでお家に帰りました。すると6時にオオカミがやってきました。『子ブタさん、それでは畑にでかけましょう』子ブタはしずかにこたえました。『オオカミさん、もうカブの畑に行ってきましたよ。たくさんカブをとりました』オオカミはひどく腹をたてて、ガタガタふるえて、仕返しをしてやろうと思いました。『子ブタさん、ぼくはとってもおいしいりんごの畑を知ってるよ』子ブタはりんごが大好きです。『その畑はどこにあるのですか?』『メリーさんの山の畑だよ。あした案内してあげるよ。朝5時にむかえにくるからだますんじゃないよ!』

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つぎの日の朝、子ブタは4時に起きてメリーさんのりんご畑へ急ぎました。オオカミが来る前にお家へ帰ろうと、急いでりんごをとりましたが、”木のぼり”がにがてな子ブタは時間がかかってしまいました。するとオオカミがやって来て、りんごの木の下から子ブタにいいました。『ぼくより先に来るなんてひどいじゃないか。ところで、ここのりんごはたいそうおいしいかい?』子ブタは木の上からじっとオオカミを見つめて言いました。『ここのりんごは本当においいしいよ。1つあなたに投げてあげる』子ブタは”えいっ”とりんごを遠くに投げました。オオカミがりんごを取りに行く間に、子ブタは急いで木から飛び降りて、走ってお家に帰りました。

次の日も、こりずにオオカミは子ブタのお家にやって来ました。オオカミはカンカンでしたが、ぐっとこらえていいました。『子ブタさん、きょうはシャンクリンの街で市場がひらかれるよ。一緒に買い物に行かないかい?』子ブタはオオカミが少し怖かったのですが、市場に行ってみたくてガマン出来ません。『では3時に一緒にでかけましょう』子ブタはオオカミが帰るとすぐにシャンクリンの市場に急ぎました。

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子ブタは市場に着くと、バターを作るタルを買い、急いでお家へ向かいました。すると坂の下からオオカミが走ってくるのが見えました。子ブタは急いでバタータルに入ってゴロリゴロリとオオカミにむかって転がりました。オオカミは、恐ろしい”おばけのタル”にびっくり。急いで走ってお家へ逃げ帰りました。

次の日も、オオカミは子ブタのお家にやって来ました。オオカミは情けない顔で、子ブタに昨日の出来事をはなしました。『子ブタさん、きのうシャンクリンの坂の上からゴロゴロゴロゴロ転がって来た”おばけのタル”に追いかけられたのだよ、、、』『ははっ、”おばけのタル”ってわたしの事かな?きのう市場でバタータルを買ったら君が坂の下から登って来るのが見えたのでたので、タルにかくれて坂をゴロゴロころがったんだよ』子ブタは笑っていいました。 

オオカミはガタガタと歯を鳴らしながらカンカンに起こりました。『よくも俺様をばかにしてくれたな!お前をガブリと食ってやる。えんとつから入ってやるからかくごしろ!』

子ブタは急いで暖炉に大鍋かけて、ゴンゴン火をくべ、グツグツお湯をわかしました。

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オオカミが煙突からするりと降りた時、子ブタはさっとフタをとりました。オオカミはグツグツ湯がにえたぎった大鍋にボチャーン!。子ブタはさっとフタをして、オオカミをグツグツ煮込んで”よるごはん”をこしらえて、ペロリと食べてしまいました。

子ブタはそれから末長く、のんびり幸せにくらしました。


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