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牛肉麺絵日記 35/100杯目 川味・張媽媽(台湾・台北)5/5/2013

スケッチー34

牛肉麺屋さん巡り35日目。2013年5月5日 夕方5時。(台湾・台北)

今日は、滞在先の最寄駅MRT公館駅から2駅先の古亭駅の直ぐ近く、書道道具やさんが並ぶ通りを訪れた。書道道具店に、自分の作品制作に使える材料があるのではと一軒一軒覗いてみたけど、小さな規模のお店ばかりで特に使えそうなものは見つけられませんでした。でも、書道の道具は美しいも物が多く、見ているだけでもとても楽しめました。

プルーストの小説に、”紅茶にひたしたマドレーヌを食べていると、ふと幼い頃の記憶が鮮明によみがえってきた”と書かれたものがあります。香りには記憶を呼び起こす効果があるようで、私の場合書道の墨汁の匂いを嗅ぐと、小学生の時に毎週楽しみにしていたテレビ番組”カックラキン大放送”を思い出す様です。まさか台湾で昔のテレビ番組を思い出すとは・・。不思議な事も有るものです。

私は字が下手くそで、小学生低学年の時、毎週金曜日の夕方に実家近くの習字教室に通っていました。習字は特に嫌いではなかったけれど、何時もうまく書けずやり直しやり直しでなかなか家に返してもらえませんでした。”カックラキン大放送”の放送開始時間は金曜夜7時半。ほとんど毎週放送開始時間に帰宅出来ずに最初から見る事が出来ませんでした。カックラキンは80年代に放送されていた坂上二郎さん・研ナオコさんと昭和のトップアイドルが出る超人気コント番組で、見逃すと次の日の友達との話題についていけず、少々苦い思いをしました。

書道道具店街をでて、古亭駅に戻る。駅の裏手に古亭市場があったので覗いてみた。古亭市場は大きな夜市・師大夜市に繋がる少し寂れた感じがするローカル市場。他の市場と比べる活気が弱め。市場内はビルの谷間のトタン屋根でおおわれていますが、屋根を見ていると新しいビルが建つ度縮小されて来たのが見て取れます。昭和の時代はもっと大きい市場だったんだろうな・とアンニュイな気分にさせられる。

市場内は非常に蒸し暑い。八百屋さんの女性は冷たそうな水滴がついた器で冷やし緑豆湯・台湾緑豆薄甘煮を食べながら項垂れていた。台湾に来てから豆のデザート食べる機会がすごく増えた。自分で進んで買う事はないけど地元の人に勧められたり頂いたりして食する事が多い。甘さを控えた健康的な物が多く、豆の味をしみじみと感じ得る事ができる。でも・・、日本で言うぜんざいの様な豆のデザートを食べた時も、うっすらと”カックラキン大放送”を思い出すのは小学生の時に通った習字教室の奥さんが、寒い時期に時々美味しいぜんざいを振舞ってくれたからだろうか。書道の墨と豆の香りにプルースト効果が働き、カックラキンを見れなかった歯がゆい感情が蘇る・・・? 小学生当時、そんなにその番組を楽しみにしていたのだろうか・・。

古亭市場を出ると、牛肉麺屋さんが一軒あった。川味張媽媽牛肉麵。今日はこのお店に入ってみた。

お店の外観は綺麗なカフェのよう。派手な看板もなくとてもスッキリしている。店名の張媽媽とは張ママという意味らしく、川味とは四川味。店内に入ると壁にめちゃくちゃでっかく牛肉麺や1品料理の写真がプリントされている。店内は綺麗日本のラーメン店の様。皿に盛られた前菜・小菜が並ぶ棚には間接照明がついていて、すっきりと清潔感がある。紅焼牛肉麺を注文。

でかい牛肉麺の写真に威圧感を感じながら麺を待つ。お店それぞれ考えがあっての事なので、値段についてとやかく言うのは好きではないけれど、牛肉麺$170は他の店に比べてかなり強気の値付け。原価がかかっているのだろうか・と厨房を覗いてみた。

牛肉麺の牛は噛み心地良くやさしい味付け。麺は程くコシがあるツルツルとした中細麺。スープはほのかに漢方・唐辛子が香り、スッキリクリア。

お店を出ると仕事帰りの人が沢山駅に向かって歩いていた。やっぱりちょっと高くないかな・・。なんとなくもやっとしながら家路に着いた。


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