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百合展のこと

百合展が池袋でなくて青山で開催されることになったとき、すごくほっとした。もちろん最初の会場が中止になって嬉しかったとか、そういうことではない。
もう百合展については2016年から参加していて勝手に追いかけて体当たりで取材して記事にしていて、今回なんて記事のためにではなくて自分でちゃんと鑑賞できるように三月の時点で連休をとっていた。
だから中止が哀しいのは当たり前だった。
実は今年は2018年の百合展は記事にする時間もとれないしその時点での掲載先に文章をあげる気力がなくなっていて、でもこのインタビューだけは載せたい、新しい掲載先で記事を書かせてほしい、と願って活動していた。新しい掲載先のコミスペ! さんはすごく懐が深くて、百合の記事もやりましょう、ちゃんと写真を撮影しますよと言ってくださるのがありがたくて、やっぱり取材させていただこうと依頼をさせて頂いた。
その直後に中止のお知らせが為されて、取材についてお詫びのメールが届いた。池袋の開催は中断されたことへのご連絡だった。ライターだからではなくて単純に長く生きてきて、昔書店員だったから、急に社会情勢のために展示するものや商品を別の場所にうつさないといけない事態を経験していた。それだけに渦中にある状態でこんな端っこの人間にも連絡を返して下さることをありがたいと思った。もう大変だったことだろうと思う。
部外者で取材をしているだけなのに、きちんとご連絡をくださるなんてありがたいし内実ではどんなに大変な事態だろうと思わずにいられなかった。
端っこの人間にまでこうまで早くメールをくださる、そんな細やかさがある時点で、とっくに新しい会場を探して迅速に動いていることだろうということも信頼できた。

実際にすぐに決まった時には良かった、めでたい、という気持ちだけでなくて、す、すごい…という気持ちが強かった。百合展の中には色々な方が関わっていらして、それだけでも、ただでさえすごいのだけれども、こんな急な事態にも対処できる。敬服してしまう。
何も問題ないものを「何も問題ないけど筋が通らないから」という理由だけで阻まれたのに、潔く応じて、すぐに次の場所を探して、もっといい場所を見つけて黄金週間の開催を数日内に公表した。心から感謝したい。本当にただファンとして。

つづく。

読んでくれてありがとうございます。諸経費(主にイラスト等の依頼や取材や書籍)に活用させていただきます。「ゆりがたり」の収益は一部取材対象の作家様に還元しています。