サークルカットわかんない!
こんにちは。同人イベントでオリジナルキャラの姉妹が出てくるマンガを出しているくもゆにと申します。今回は、同人イベントに不可欠のサークルカットについて、あれこれ考えてみたいと思います。
サークルカットって?
同人イベントに申し込む際、サークルカットが必要です。サークルカットは、指定されたフォーマットで提出するもので、イベントによって要求する画像サイズが異なっています。
例としてコミックマーケットでのサークルカットの大きさは「635 x 903」で、コミティアでのサークルカットの大きさは「638 x 945」です。
コミックマーケット・コミティアのサークルカットは縦長ですが、地方の同人イベントや、特定の作品を対象にしたオンリーイベントでは、横長の場合もあります。
参考:コミックマーケット向け
参考:コミティア向け
サークルカットが難しいのは、(たいてい)作品が完成する前に描かなければならないところです。特に夏コミの申し込みのように半年前に申し込む場合、本当にその作品を題材にして頒布物を作成するかは曖昧です。直前のアニメで面白い作品があった場合、そちらに舵を切ることも十分ありえます。
同人イベントに行くと、サークルカットで出していたのとは別の作品を題材にして頒布物を出すサークルも散見されます。創作は熱量と勢いが大事なので、こうした時期の違いに由来する現象は致し方ないといえます。こういった場合は、Webサークルカット側で、サークルカットを差し替えるという方法があります。
参考:コミックマーケットにおけるWebカタログ用サークルカットの説明
サークルカットの要求事項
「サークルカットに自信があります!」というサークルさんを、私はあまり聞いたことがあリません。つまるところ、みんな「これでいいのか……?」と考えながらサークルカットを作っているのではないかと考えられます。私もその一人で、こんな記事を書いていながら、どうやって作ればいいか試行錯誤しつつ制作しています。
効果的なサークルカットを考えるうえで。まずは、最低限必要な事項を確認します。例として、コミックマーケットのサークルカットでの注意事項を見てみましょう。
8項目書かれていますが、最低限必要な事項を抜き出すと
サークルカットには、枠内にサークル名を入れ、頒布物概要の記載に沿った内容を書けばよい
といえます。注意事項に書かれている通り、サークル名は必ずしも右上に入れる必要はないようです。しかしながら、検索すると、コミックマーケット82の際の配置担当のコメントにサークルカットのサークル名部分について触れている方が居ました。
C82のときのコメントなので10年以上前であり、参考程度の情報ですが、申し込み不備やカット破損と誤解されるのを防ぐためにも、サークル名は右上に入れておくのが良さそうですね。
印刷時のサークルカット
Ciircle.msでは、画像に含まれる解像度情報をクリアするようになっていますが、コミックマーケットやコミティアでは、提出したサークルカットが600 dpiで印刷されています。
例として手元のコミティアのカタログを定規で測ってみたところ、1サークルのサークルカットはだいたい次の大きさで印刷されていました。
コミティアでのサークルカットの大きさは「638 x 945」ですが、これを解像度600 dpiにした場合の大きさとだいたい同じといえます。
よくある証明写真のサイズが30 mm x 40 mmですので、それよりも小さく印刷されます。500 円玉のサイズが直径26 mmですので、横幅はほとんどこのサイズです。
画面上では拡大できるのでついつい書き込みがちですが、印刷される大きさを考えれば、小さい文字を詰め込むのは厳しいといえます。少なくともサークル名は、見やすいフォントで、なるべく大きく、太い文字で入れておくのが良さそうですね。
上記はコミティア向けでしたが、コミックマーケットのカタログではサークルカットがさらに小さく印刷されるため、より配慮が必要と言えます。
文字の太さによる見え方の検証
画面ではある程度太い字に見えていても、さほど太さが感じられません。細字は見づらく、潰れる可能性があります。
文字の大きさによる見え方の検証
小さい字は完全に潰れてしまい、読めません。ある程度大きな文字でも印刷時の大きさを考えれば、行間はたっぷり開けた方が良いように思えます。
なお、コミティアの場合、サークル名を書く右上の枠はカタログ掲載時で7 mmなので、めいっぱい収まる文字の大きさでも6-7 mmの大きさにしかなりません。一般的なレシートに使われている文字の大きさでも3 mmです。サークルカット作成の参考になるかもしれません。
サークルカットに何を書くべきか?
ある程度大きな文字が必要とされるサークルカットでは、さほど文字を書くことができません。であれば、なるべく文字が少なくなるように、自サークルの頒布物をアピールする必要があります。
コミックマーケットやコミティアはジャンル別に申し込むイベントです。そのため、わざわざサークルカットにジャンルに関することを書く必要はないと言えます。
例としてイラストジャンルで申し込んだ場合、カタログ読者は頒布物がイラスト本やイラストを使ったグッズであるとすでに予測しています。そのため、わざわざサークルカットに「イラスト本」と書くよりは、取り扱う頒布物の特徴、例えば擬人化、メイド、モンスター、風景、廃墟……などを書くほうが効果的と考えられます。
似たような話で、一次創作のみを頒布するコミティアで、「オリジナル」や「うちの子」と書くのは冗長といえます。
コミティアでは近ごろジャンルが見直されました。サークル申し込みの際は、これらを選んで申し込みを行いますが、自分の所属するジャンルを把握してサークルカットを作成していくのがよさそうです。
参考:コミティアのジャンルコード(コミティア148向け)
参考:コミックマーケットのジャンルコード
サークルカットの種類
同人イベントのカタログにはサークル数のぶんだけサークルカットが載っています。サークルカットを研究するうえで、サークルチェックよろしくカタログを開いて膨大なサークルカットを見ましたが、サークルカットにはいくつかのパターンがあることに気付きました。
ロゴ
ロゴを配置したパターン。グッズ・雑貨系に多いイメージ。
文字
文字で頒布物を説明したパターン。文芸や評論・情報系に多いイメージ。
デフォルメキャラ
デフォルメしたキャラクターで頒布物を説明したパターン。
イラスト(モノクロ)
モノクロイラストを使用したパターン。
イラスト(グレー)
グレー化したイラストを使用したパターン。イラスト系に多いイメージ。
写真
グレー化した写真を使用したパターン。写真、グッズ・雑貨ジャンルに多いイメージ。
これらのサークルカットのパターンをベースとして、文字を入れて作っているのがほとんどだと考えられます。
サークルカットの大きさはどのサークルも同じで、そこに載る文字の大きさもだいたい同じです。そんな中でカタログ読者に自サークルをアピールしていくには、いかに目立てるか、印象付けるかが重要となります。
もし、いままでにカタログを買ったことがない方は、一度買ってみて他サークルがどんなサークルカットを提出しているか参考にしてみるのが良いと感じます。特に、自分のジャンルの他サークルのサークルカットがどのような傾向を持っているか分析し、あえて傾向を外すことで自サークルを主張できるかもしれません。
サークルカットは営業ツール
言わずもがな、サークルカットはサークルを表す看板であり、いままで接点のない方に知られるきっかけともなるツールです。
同人活動のメインは作品制作であるがゆえに、あまり力を入れる方も少ないと思われるサークルカットですが、この記事で、サークルカット文化の発展(?)と、みなさまの創作の力になれれば幸いです。
続き:サークルカットどうする?(制作編)
後編は別記事にて後日公開予定です。お楽しみに。
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