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禍話俺セレクション

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2019年10月の記事一覧

【怖い話】 扇風機の家─前編 【「禍話」リライト⑳】

【怖い話】 扇風機の家─前編 【「禍話」リライト⑳】

 大学生の夏休みは長い。

 Tさんは実家から大学に通う地元組だった。

 ある年の夏休みのこと。

 引っ越してきて通学している友達はあらかた実家に帰ってしまい、地元の学友はみんなよそへ遊びに行き、高校以前の同級生は大学のある地域から帰ってこない。

 そんなことが重なって、Tさんはしばらくの間、一人ぼっちになってしまったそうである。

 ヒマ潰しがてら短期のバイトでもしようか。そう思ったが、

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【怖い話】 蔵の箱 【「禍話」リライト⑯】

【怖い話】 蔵の箱 【「禍話」リライト⑯】

 戦後しばらくして、と言うから、今から五十年ほど前になるのだろうか。

 Aさんは、「あなたにしかできないことをやってもらいたい」と、ある屋敷に呼び出された。

 相手方はその町の、ひと昔前は庄屋とか名主とか言われていた大きな家である。

「あなたにしかできないこと」とはいかにも大仰で、Aさんが特別な存在であるかのようだが、そうではない。

 Aさんはここから離れた地域にひっそりと住んでいる、ただ

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【怖い話】 燃やすバイト 【「禍話」リライト⑧】

【怖い話】 燃やすバイト 【「禍話」リライト⑧】

ある夜。

 すげー簡単なバイトがあるんだけど、人手か足りないんだってさ、お前やんねぇか、と友達に誘われたという。
 へぇ、どんなバイトなの、とNさんが聞くと、「山奥で家財道具を燃やすバイト」らしい。
「まぁ無許可で焼くんだけどな。金払いはいいんだよコレが……」

 オメーそれ犯罪じゃん、誰がンことやるかよ、と言ったが、バイト料を聞いて驚いた。けっこう、いやかなりイイ金額である。
 ちょうど新しい

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【怖い話】 ぼーだーの動画 【「禍話」リライト⑦】

【怖い話】 ぼーだーの動画 【「禍話」リライト⑦】

 家庭教師をしていたことのある、Bさんの話。

 Bさんは、高校受験を控えた中学生の女の子・A子さんを教えていた。
 その家は、ご両親にお兄さん、A子さんの4人家族。平和を絵に描いたような家庭だったそうである。
 A子さんは出来のよい娘さんで、礼儀も正しく、教えるのに苦労はなかったという。

 ある日のこと。先生、勉強とは関係ないんですが、相談があるんです……とひそめた声で言われた。

 オッ、恋

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【怖い話】 集合体マンション 【「禍話」リライト⑤】

【怖い話】 集合体マンション 【「禍話」リライト⑤】

「僕が大学時代の話なんです」
 Aさんはそう話し始めた。
「このへんの話じゃないんです。実家を出て、大学のある地域に住んで、実家に戻ってきて就職したんで。
 だからもうあの地域には行くことはないです。絶対に近づきもしません」

 Aさんは学生生活の傍ら、短期でポスティングのバイトをやっていた。
 家やマンションのポストに入っている、うざったいチラシやダイレクトメール。あれを投函していく仕事だ。

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【怖い話】 祭り覗き 【「禍話」リライト④】

【怖い話】 祭り覗き 【「禍話」リライト④】

大学で民俗学をやっていた、Gさんの体験。もう20年も前の話だという。

 Gさんはその日、ある地方に出向いていた。資料館巡りや現地調査を終えて、帰ろうとした。帰って提出用のレポートをまとめるのだ。そう考えた。だがこの土地をこのまま離れるのも勿体なく感じた。 
 行き先もよくわからない電車にふらりと乗り込んだ。気まぐれに全然知らない駅で降りてみよう。大きくて立派な駅では面白くない。しばらく揺られて

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【怖い話】「例の家」【「禍話」リライト③】

【怖い話】「例の家」【「禍話」リライト③】

 余計なことは言わない方がいい。

 俺が高校の頃の話だ。当時はよく友達の家に遊びに行った。日帰りの時もあれば、泊まりの時もある。
 泊まりの夜となれば、まぁ馬鹿話をしたりゲームをやったり、お酒的なものが持ち出されたりして(未成年は真似しないように)、場が盛り上がる。さほど親しくない奴がいたりもするが、しばらくすれば打ち解けて仲良くなれる。十代とはそういうものだ。
 それで、夜遅くなったら始まるの

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