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珈琲が美味しい…

若い頃、仕事の帰りによく立ち寄った喫茶店があった。
そこは、種類が豊富なサンドイッチと一杯点ての珈琲が美味しいお店。

店内はブラウンを基調とした落ち着いたインテリアに、一抱えもある花器に生けられた季節ごとの花々。

女性スタッフは一人もおらず、谷村◯司氏似のマスターをはじめ、働いている人はすべて男性という…彼らの出で立ちは皆、今で言えば執事さんがいっぱいという感じだった。(違)

オーダーのときも、誰もメモなど取らない。
すべて記憶し、厨房に持ち帰る。
10人くらいで行ったときにも、食べ物と飲み物の組み合わせを間違うことなくそれぞれに供された時は、プロの仕事に鳥肌が立ったものだ。

そして今、その店はなんと、『とんかつ屋』さんになっている。

豚肉をミルフィーユのように重ねて揚げたとんかつは、確かに美味しい。
でもここのおすすめはやはり、私にとってはマスターの手による珈琲だ。
添えられる生クリームも当時のスタイルのままで嬉しく、大昔、とんねるずのノリさんが『ハローグッバイ』の替え歌を歌っていたことを思い出して、口元が緩んでしまう。

♪ 紅茶の美味しい〜 焼肉屋〜

そんな店が存在するのも、あながち冗談ではないんじゃないかな、と思ってしまうのだ。
だってここに、『珈琲の美味しいとんかつ屋』があるのだから。

#日常 #珈琲 #エッセイ

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