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2/21|歩いて帰る

一番好きな街が新宿だと答えると、そんな人は聞いたことがないとよく言われる。(たまに新宿がホームとか、新宿出身の人に会うと「ですよね〜」ってなる)新宿が苦手だという人は、新宿が雑多すぎるというのと、歌舞伎町周辺の治安があまりよろしくないという理由が大きいのかもしれない。ギネスに記録されるくらい新宿駅は人が多い。分母が大きければいろんな人が集まってくる。

基本的に人混みは僕も苦手だ。ただ、写真を始めた頃ライブばかり撮っていたことを考えると小さな箱に詰め込まれた人だかりは嫌いじゃなかったし、新宿が好きだということと矛盾している気もする。ここは正直自分でもよく分からない。

歌舞伎町、伊勢丹、ゴールデン街、都庁付近の整備されたオフィス街。新宿には水商売の世界で順位を競い合う人がいる。少し外れると裏の世界を牛耳る人。オペラシティも含めると大小たくさんのライブハウスがあって、そこに通う音楽家もいる。ゴールデン街には出勤時に酔い潰れてまだ寝ている人もいれば、文豪、写真家、あらゆる作家人が通ったとされる名店もある。百人町に入れば、コリアタウンをはじめ、アジア圏の少しエスニックな雰囲気が漂う。少し離れて都庁の近くは整った街並みかと思いきや家がない人と、行政に関わる人たちが行き交うのを見て格差も感じる。品がないかと思われがちだけど、伊勢丹に入れば品格のある紳士淑女が優雅に買い物を楽しむ。

雑多という一言でまとめることもできるけど、これだけカオスで、よく言えば多様性のある街はなかなかない気がする。アシスタント時代の拠点が新宿という理由も大きいかもしれないし、大学受験に失敗して千葉に住むことになった僕からすれば、都内の友達と遊ぶときの拠点も新宿だったというフィルターもあるかもしれない。引っ越しの基準はいまだに新宿に1本で行けるかどうかで住む街を決める。欲を言えば歩いて帰れる距離のところ。

一番散歩していて楽しい街が新宿だ。(新宿を被写体に撮りまくった某大御所写真家とは別の視点で)いや、日暮里エリアの散策も楽しい。出張で他の街から戻った時の羽田沖の景色、首都高を降りた時の銀座の街並みをみるとやっぱり東京はいい街だと思う。茨城の片田舎から出てきた身としては都会に染まったといわれてもおかしくはないと思う。撮影で海外含めて東京以上に発展している都市から電波の届かない雪山の奥深くまで行ってみてもそれぞれ魅力はあるものの、それでも東京はいい街だと思う。田舎での生活ももちろん憧れる。(憧れも何もまだ田舎での生活のほうが長い)将来は地元に戻って好き勝手写真を撮るのもいい。食事のことを考えると東京がミシュランの星の獲得数が一番多いといわれている。(今はわからないけど)フレンチ、イタリアン、中華、もちろん和食、どのカテゴリを見ても東京ですべてを体験できる。そういえば西口のヨドバシ付近にはガジェット系のフリークたちもいる。今はポケモンGOに熱中するおじさま方の姿も。あらゆる界隈の人たちが集まるのが新宿。帰属意識があるわけでもなんでもないけど、なんとなく自分が落ち着ける場所がどこかしらにありそうな街という意味でも魅力を感じるのかもしれない。勢いでざっと書いてみたけど、たぶん新宿をもっと深く知っている人からしたらまだまだニッチな部分は出てくると思う。

たくさん写真を見てほしいです。