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語り継がれる物語たち~グリムレプリカに寄せて~

ご来場・ご視聴御礼

 新年一発目の演劇公演として「グリムレプリカ」を上演した。兎団×舞台芸術創造機関SAI×獣の仕業の共催ユニット「エコダ動物園」での企画である。楽しかった、殊更楽しかった。
 いやあ共催は良い。自団体っぽくない仕立てにも挑戦できつつ、それぞれの団体の得意分野は持ち寄れて。

  • 其ノ零「BRICOLAGE THEATER 3x3」(2019年)

  • 其ノ壱「とりかへばや地下戯園」(2020年)

 同じ共催座組公演も三回目。「グリムレプリカ」を機に遡りナンバリングしてしまった。エコダ動物園の屋号が付いて一発目の公演なのに「其ノ弐」だったのはそんな理由だ。このふたつもとても楽しかった。

「楽しいから、一年に一回やろうぜ!」

 と熱い拳を交わした途端流行り病が始まって、三年ぶりの開催となった「グリムレプリカ」。個人としてはかなり記念的な企画を、こうして有観客公演で行えたこと、心から嬉しく思います。配信も加わって、なんならむしろパワーアップしてるね。

 ご来場・ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。
 皆様のお陰で芝居を作ることができています。心より感謝しています。
 いただいたご感想やご意見もありがたく拝読しております。

 配信についてはご購入・ご視聴ともに今週末までとなっていますので、ご興味のある方ぜひ覗いてみてください。
 ご来場叶わなかった方にも、会場に来たけどもう一度ご覧になりたい方にもおすすめです。2,000円です。チケット価格帯的にもお求めやすい設定にしております。

エコダ動物園 其ノ弐「グリムレプリカ」配信アーカイブ販売のお知らせ

配信チケットのご購入

EN・THIRD PLAY'Z MARKETでオンライン購入いただけます。

  • 購入期限:2/10(金)23:59

  • 視聴期限:2/12(日)23:59

作品ごとのご紹介

 グリムレプリカはLIGHT/DARK/CHAOSの3ステージをご用意。
 ステージごとに上演演目が異なります。作品の内容で選ぶもよし、出演者や脚本・演出で選ぶもよし、もちろん全通も大歓迎です!

エコダ動物園のTwitter

 Twitterもやっています。主にツイ廃一歩手前の飼育員Rが投稿しておりますので、情報たっぷりです。最近は絵や動画に字幕を付ける楽しみを覚えてしまいすっかり大喜利感覚です。

こんなことばかりしている

 ですがオススメは飼育員Kの作成した配信ダイジェスト動画。配信のスイッチングやカメラの雰囲気もしっかり吟味できることでしょう。

語り継がれる物語たち~グリムレプリカに寄せて~

 取り扱った題材のグリム童話は昔から好きだったモチーフだ。マイベストはDARKにあった「ねずの木の話」。大ファンだ。「金の鍵」も好き。
 子供時代の原体験だと「わがままな子どもの話」を初めて読んだときには心から痺れたものだ。1ページに収まってしまうような短いお話なので、ぜひ読んでみてほしい。
 これはなんだと幼い私はずいぶん困惑した。当時私は物語というものには、メッセージやら教訓やら(特に子供向けとされる読み物には)もっと教条めいたものがあると思い込んでいた。
 しかし、わがままな子どもの話には何もなかった。ヤマなし、オチなし、かといって色気もなし。きわめて不可解で、気持ち悪くて、でもゾクゾクして目が離せない。快と不快のちょうど境界線、なんならギリギリ不快寄りなライン。そんな感覚。
 読んではいけないものを手に入れたような、子供なりの背徳感。
 あのころの気持ちは、今の自分のものづくりにも影響があるように思う。

 イソップ童話やアンデルセン童話に比べて、このギリギリ不快な感じというか、教訓がなさそうでありそうでやっぱりないよね感が、グリム童話の傾向なんじゃないかと感じる。本公演のキャッチコピー「けっこうカワイイ。ちょっとキモい。」には、その当時の感覚を反映した。

DARK全員集合

 しかもこの話が、現代まで語り継がれて残っているところがまた意味不明ですばらしい。ロックだなあ。何で他人にこの話をしたんだろう?
 理由はみんな違うと思うけれど、私たちのように「なんかいいじゃん」「他の人に話してみたい」と思った人が歴史の中にずっと存在していて、物語がバトンのように渡されて、色んな解釈や超訳を浴びて現代の創作に再登場したりもして。
 それを見た人が「原作を読んでみようかな」とそれぞれの理由で思って。
 そうしてまた続いていく。

 私は文学限界オタクなので、人が物語を物語るということの力強い流れみたいなものを感じて心底嬉しい。

LIGHT寄りのごちゃまぜ全員集合。動物の形態模写だよ。

 今回の上演を見た方の中にも、原作を手に取ってくださった方がたくさんいらっしゃった。昔々、グリム兄弟に話を伝えた誰かも、きっと元は誰かから聞いた話で、その前の人もその前の人も、そのまた前の人も……? そんな脈々とつながる物語のリレーって、それ自体が物語の本質って感じ、かなりする。たまんないぜ!

 ご来場・ご視聴、誠にありがとうございました。
 また次の物語でお会いしましょう。それまで、ご機嫌よう。

 2023年2月 立夏 もしくはグリム妹(写真中央右)

めでたしめでたし。


 






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