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2021年・株主提案メモ

株主提案を巡る動きが注目されています。2021年も、昨年に引き続き、株主提案権の積極的な行使が見られ、特にアクティビストによるガバナンスを問う趣旨の提案は注目を集めています。

改正会社法(3月1日施行)において株主提案権の濫用に関する規律が導入されましたが、この改正は一見して明らかに濫用的な内容のもの(いわば病理的なもの)への対応という側面がありました。ただ、昨今の株主提案は、必ずしもそのようなものではありません。可決まで至る株主提案はまだ多くはありませんが、会社側も真摯な対応を迫られるようになってきた印象を受けます。

実際には、株主提案の前段階で、会社と株主の間での対話や、事実上の交渉で妥結する場合もありますので、現実の株主提案を巡る動きという意味で言えば、実際に招集通知に載ってくる件数よりももっと多い暗数があるといっても差し支えないのではないかと思います。

昨今、無視できない動きになってきているのは、環境保護団体等によるESG関連の提案です。私も幾つかの株主総会の現場に立ち会ったり、株主として参加(オンライン)しましたが、気候変動関係に関する株主からの質問が以前よりかなり増えたような印象を受けました。

以下、備忘録として、株主提案があった会社をメモしておきます。

株主提案が可決されたケース

・ラクオリア創薬(3月25日)
・東芝(3月18日)(臨時)
・中小企業HD(旧クレアHD)(4月21日)(臨時)
・天馬(6月29日)
(※やや特殊な例も含んでいます。)

株主提案があったが否決されたケース

・ヨロズ(1月22日)
・ティムコ(2月25日)
・メック(3月24日)
・佐渡汽船(3月25日)
・荏原実業(3月25日)
・デジタルHD(3月26日)
・ランド(5月27日)
・ワキタ(5月27日)
・東都水産(6月16日)
・日鉄ソリューションズ(6月18日)
・住友商事(6月18日)
・日産自動車(6月22日)
・NCHD(6月22日)
・世紀東急工業(6月23日)
・スガイ化学工業(6月23日)
・極東貿易(6月23日)
・西川ゴム工業(6月24日)
・ヨータイ(6月24日)
・平和不動産(6月24日)
・NTT(6月24日)
・東海東京フィナンシャルHD(6月25日)
・オーハシテクニカ(6月25日)
・日本伸銅(6月25日)
・山口フィナンシャルグループ(6月25日)
・東京ラヂエーター製造(6月25日)
・TAC(6月25日)
・東洋製罐グループHD(6月25日)
・関西電力(6月25日)
・九州電力(6月25日)
・北海道電力(6月25日)
・フェイス(6月25日)
・淺沼組(6月26日)
・エスケー化研(6月29日)
・三菱UFJFG(6月29日)
・ユニデンHD(6月29日)
・東京電力HD(6月29日)

気候変動関連の株主提案メモ

■ 住友商事さんの事例(招集通知/臨報より引用)

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・賛成率は約20%でした。

■ 三菱UFJフィナンシャルグループさんの事例(招集通知/臨報より引用)

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・賛成率は約22.71%でした。

■ 東洋製罐GHDさんの事例(招集通知/臨報より引用)

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・賛成率は約14.31%でした。

大きな会社でも20%超の賛成率を得る位ですから、会社もやはり無視できないということにはなるでしょう。様々な意見はあると思いますが、こうして株主提案制度が機能しているということが言えるのではないかと思います。

(以上です。)

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