見出し画像

相続トラブルを避けるための取り組み

相続トラブルが発生して、一番面倒くさい事に発展するのが、“不動産”が“負動産”になるということ。

これはどういうことかと言うと、その背景にあるのが“現代では持ち家が資産にならない”ということがあります。

土地神話が根強かった1980年代までは持ち家はありがたい資産でしたが、今では不動産は税金をはじめ、管理の費用と手間がかかるものになっています。

地方の実家が空き家になる理由

いまの日本では、所有者不明の土地が全体の約20%もあり、410万ヘクタール(2016年調査時点)もあります。九州の面積が約367万ヘクタールなので、九州以上の大きさの土地が所有者不明になっているという計算です。空き家に関しては、全住宅の13.6%の約846万戸(2018年調査時点)にのぼり、所有者不明の空き家も一定数あります。

一戸建ての空き家の54.6%(2019年調査時点)が相続で取得したものと半数になっています。

では、何故?これほど、実家が空き家となってしまうのか?というと、その原因として考えられるのが“核家族化”と“雇用の都市集中”です。

1970年代の高度成長期に地方から都市部に出て就職した若者が結婚して都市近郊に一戸建てないしは分譲マンションなどの家を持ちます。そうなると、親が亡くなっても家がある子供たちは地方の実家には帰らず、自分達の家に住み続けます。

資産価値の無い地方の実家でも固定資産税や管理などの費用と手間がかかる上、売りたくても売れない状態になっているので、相続発生時に相続人同士で誰が引き受けるかという話になります。

仮に、売却したり住宅ローンを組んで建物を建てるのでは無い限り、相続登記しなくても支障が無いため、共有名義のまま放置されるケースが生じます。

そのような共有名義のまま世代を経ると共有者(相続人)が増えて処分することが難しくなります。

これで地方の実家が空き家だらけになるという図式が出来上がるというわけです。


遺言書を書いておくことでトラブルを回避する

“うちの家庭は兄弟姉妹みんな仲が良いので相続トラブルは起きない”

遺言書の話になると、このようなことを口にする人が一定数いらっしゃいますが、仲が良い家族こそ、相続のトラブル対策として、遺言書の準備をしておくべきでしょう。

仮に、いま現在仲が良い家族でも、相続が発生した時にも変わらず仲良しのままとは限りません。

離れて生活をしていると、その土地や仕事の内容、職場や学校など様々な要素が生活の中に入り込み、その人自身を形成する価値観が変化していきます。よく、地方から都会に出て、同窓会などで久しぶりに地元に戻ってきて昔の友人に会うと、考え方や価値観に違いが生じていて、戸惑ったという経験をした人も少なくないでしょう。

同様に家族の間でも、お盆やお正月しか顔を合わせない、あるいは数年間に一度しか顔を合わせないような関係性になるとお互いの考え方や価値観にズレが生じていくとうことは自然なことです。また、それぞれが家庭を持つことで当事者ではない相続人の配偶者が口を出してくるケースもあります。

そのため、“備えあれば憂いなし”といった考え方で準備をきちんとしておくことが大切です。

基本としては、相続人全員の納得を得て、遺言書を親に書いてもらうことですが、相続人同士の関係が希薄なのであれば、親の判断だけで遺言書を書いてもらうことです。その時に親が認知症になっていないかどうかを病院を受診して証明しておくことも大切です。


活用しやすくなった遺言書

2015年に40年ぶりの相続法の改正があり、次の2つのポイントが変わったことで、自筆証書遺言の使い勝手が大幅に良くなりました。

一つ目は、自筆証書遺言に添付する財産目録がパソコンなどで作成することが出来るようになったこと、これは自筆証書遺言本体はこれまで通りご本人が手書きする必要がありますが、所有している不動産や株券、銀行口座などの情報はパソコンで作成したものでも認められるようになったということです。

二つ目は、法務局で自筆証書遺言を保管してもらえるようになったということです。これまでは、自筆証書遺言を書いたら、自分自身で自宅や貸し金庫などに保管する以外の選択肢が無かったものを、法務局で保管してもらうことで、紛失、改ざん、盗難、本人以外による廃棄などのリスクを避けることが出来ます。

また、法務局での保管の場合は相続時の検認も不要になります。

これらのことから、いまこそ、相続トラブルを回避するために遺言書を活用する時です。

■遊休地の有効活用:https://threedesign.co.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?