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都市という巨大コミュニティのあり方で戦った二人 ージェイン・ジェイコブズ ニューヨーク都市計画革命ー

大学時代に少し地図にまつわる研究をしたこともあって、都市計画にまつわるこの映画ずっと興味があったのだけど、Amazon primeでレンタルできるということで、ついにみた!👀

ざっくり映画のあらすじや、印象に残った一言をまとめてみる

登場人物

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これまでの名誉や建築の経験をバックにニューヨークなど大都市の都市計画を進めていくロバート・モーゼスと、建築関係雑誌の編集者で、街を深く理解しながらあるべき都市の形を論じていくジェイン・ジェイコブズ

この二人の対決が、知人(主にジェイコブズ側)のインタビューと、彼女が出版した本の引用を通して語られていく。

基本的に、タイトルのとおり、ジェイコブズに100%寄っている映画なので、細かい疑問点もでてきたりする...

けれど、都市計画における、二人の視点や考え方の立ち位置を考えながら見ていくと面白い視座が見えてくる映画だと思った。

二人の考え方の違い(鳥の目、蟻の目)

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この二人の特徴は、それぞれの街を見る視点にある

モーゼスは鳥の目のように、全体を俯瞰して最適化できる方法を考えた
彼のような当時の建築家は、街を飛行機から眺めながら作り上げていったという。(多分シムシティみたいな感じ)

街の老若男女が入り混じるカオスな状況を見たモーゼスは
「カオスな状況をなんとかしよう。まるっと作り替えた方が早そう!」という思考で、街の構造をより効率的に丸々変えるプランを打ち出した。(全とっかえは、ジェイコブズ曰く街の文化を消してしまうことと同じ)
そしてこのプランは最終的に、最悪の結果を招いてしまう...

ジェイコブズは虫の目を持っていた。街を歩き、理解し、なにがこの街をより強くするのか、さらには、街が賑やかになる普遍的な要素とはなにか?を考える都市活動家となっていった。

彼女は建築家ではなく、都市活動家なので、具体的な代替案はあまり語られていない。基本的にこの映画はジェイコブズが粗末な都市計画を廃止した話だ。
それでも彼女が論じた、都市に必要な要素、またそれを記した本は多くの建築家のバイブルとなっている。

それほどの観察眼・観察したことを抽象化・言語化する力・伝える力を持っていたのだなと思う。

では二人が提唱したプランはどのようなものだったのだろう?

都市に必要だと思っていたもの

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モーゼスが都市に必要だと思っていたのは3つ
①まともな住居 ②十分な娯楽施設 ③自動車を収容する設備

ニューヨークのように、貧富入り混じり、カオスとなっている空間はモーゼスからしたらまともではなかったのだろう。また③については、当時経済成長の要ともされていた「自動車」をより普及させることが、都市の発展に繋がると信じていた部分もあったのかもしれない。

そこでモーゼスはプランとして、収入・機能により区画を分けた都市を計画し、様々な都市で導入され、そのままニューヨークにも導入されていく予定だった。

しかしすでに導入された都市では、最悪の結末を迎えてしまう。
収入の低い区画はより貧しくなり、区画が荒れ果てて、
また、居住区と商業区を明確に分けたり、交差点や無駄な路地をなくしたことによって、人通りの少なかったり、死角になる道路が増え、そこを中心に犯罪が蔓延していった。

機能性を求めすぎた整然とした都市は逆に安全性の低い都市となってしまったのである。

対してジェイコブズは、
①24時間利用されること ②多様性が保たれること ③孤立しない・繋がりがあること を栄える街の条件とした。
カオスはストレスを生む。でもそのカオスがないと、人がコミュニケーションをとることはなく、コミュニケーション不足は街の安全性の低下にも繋がる、と述べた。

類稀なる観察眼から↑の結論を導き出したジェイコブズは、ニューヨークにてほぼ開始されることが決まっていた都市開発計画に対して反対を訴え勝利した。
また具体的に、「窓辺から道路が見えるように(みんなの目によって安全性を保つ)」「路地を作って掛け合わせを増やす」など今の都市計画にも語り継がれるアイディアを出して実現していった。


終わりに

社会人として生きていると「視座を高く保て」と言われることがたくさんあるけれど、全体俯瞰できることだけではなくて、
現場で具体を見て自分の中で重要なエッセンスを取得していくことも同じくらい重要ということに改めて気づける

私がマネジメントについたときに、もう一度見直したい作品だと思った。

↑のイラストは一枚絵でまとめております

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