かまどキッチン公演#03「燦燦SUN讃讃讃讃」公演中止、及び今後の展開について
はじめに
かまどキッチン公演『燦燦SUN讃讃讃讃』につきまして、本日出演者1名より体調不良の申し出があり、簡易検査の結果新型コロナウイルスの陽性反応がみられたため、千穐楽である1/15(日)13:00公演回を中止いたしました。
これらを受け運営で協議を行い、かまどキッチンは当初の予定より早め、本日より公演映像配信販売の開始。また、公演に関するカンパを募ることとなりました。
配信映像に関する概要はこちらをご覧ください。
カンパに関する概要、及び主宰である児玉、佃によるコメントはこちらになります。
ご挨拶と支援のお願い(児玉)
かまどキッチンの児玉です。紆余曲折経た今回の公演企画ですが、上記のような案内となりました。昨日は突然のご案内になってしまったこと、大変申し訳ありませんでした。
まずはご来場いただいた皆さま、応援してくださった皆さま。そして関係各所の皆さまに感謝を伝えたいです。本当に、ありがとうございました。
兎にも角にも、これだけの規模とこだわりを詰め込んだ作品が様々な困難にぶつかりながらもここまでの期間上演できたことを喜びたいです。上演のたび、おしらせのたび、多くの方からいただいたコメント、感想、とても励みになりました。
このあとも公開予告されている鼎談記事や、上記の通り本作品の映像配信も開始されます。こちらも引き続き関心寄せていただけますと幸いに思います。
映像配信は、児玉も所属する舞台映像配信チーム ニュービデオシステムによるものです。クオリティ高い映像として自信を持って紹介できるかと思いますので是非ご期待ください。
ここからは急遽の配信販売開始とカンパについて触れさせていただきます。本公演は当初日程からの延期、代役での幕開けなど上でも書いたように紆余曲折経た実施形態を取りました。これに至るいくつかの理由のうち、とりわけ大きな理由のひとつにお金のことがあります。
今回の公演は、現代演劇において一般的な資金源である助成金を頼らない形で計画されました。いわゆる「劇団持ち出し」です。途中、別の作品で取得した権利費用によって補填することとなりましたが割合大きなものではなく、基本的には劇団を共同主宰する佃によって資金が賄われていました。「劇団持ち出し」にて公演を実施した経緯の詳しくは佃からのコメントをご覧ください。
予定通り興行を進行した場合、比較的無理なく予算を達成できる見通しのもと企画された本公演でしたが、そのあとは基本的に見ていただいた通りの内容になります。二回に分けて今回予定していた公演の半分(12ステージ中6ステージ)を中止することとなり、当初想定より大きな金額を団体で負担することとなったため、今回みなさまへ支援を募る判断に至りました。
カンパはマグカルシアター2020における公演と同様に、下記記載の銀行口座への振り込みにて承ります。お振込の際は、かまどキッチンコンタクトフォームよりご一報いただけますと幸いです。少しお時間いただくことになるかと思いますが、必ずお礼のご連絡を差し上げます。
三菱UFJ銀行 小田井支店(支店コード238)
普通預金 口座番号0100907 名義コダマケンゴ
結果的に私たちは同じ演劇公演で二度感染症の打撃を受ける形となりましたが、罹患した出演者含め参加メンバーは健康管理にはかなり気を配っており、この情勢下で演劇公演を実現することの厳しさを実感します。
制作スタッフの定めた感染症ガイドラインに基づいた運用により、今のところ参加メンバーの体調不良の報告はありません。今後も罹患した出演者のフォローや経過観察を続けるとともに、「燦燦SUN讃讃讃讃」の今後の展開について模索していく所存です。
今後とも、かまどキッチンをよろしくお願いいたします。
かまどキッチン 児玉健吾
カンパをお願いするにあたって(佃)
お疲れさまです。かまどキッチンの佃です。
児玉の方でご挨拶とカンパにいたる経緯の詳細説明をしていただいているので、私からは支援のお願いと人に支援をお願いすることへの悩みを書かせていただきました。長くなりますが、お時間あるときにでもご一読いただければ幸いです。
かまどキッチン公演♯03『燦燦SUN讃讃讃讃』は先日終演し、こまばアゴラ劇場からの撤退まで終了しました。出演者の皆さんには無理をさせてしまったなと思いますし、お客さまと関係者の皆さんには感謝の気持ちとご迷惑をお掛けした申し訳なさでいっぱいです。
今回の公演は初日公演延期や代役による幕開け、千穐楽の中止にいたるまで多くのトラブルに見舞われた公演となってしまいました。混乱した状況を端的に示すことができる画像が以下です。
うわあって感じです。当然、大赤字になりました。この文章はかまどキッチン♯03『燦燦SUN讃讃讃讃』の一部公演中止等に伴うカンパのお願いをする文章になります。ご承知おきのうえでお読みいただければ幸いです。長くなりますので、こちらに一度カンパ用の口座の方を貼らせていただきます。
三菱UFJ銀行 小田井支店(支店コード238)
普通預金 口座番号0100907 名義コダマケンゴ
共感と支援とかの悩み(佃)
上手な言葉で窮状を訴えることができる人間だけが救われる世界でいいのだろうか。と誰かが書いていた言葉が忘れられません。
苦しさはうまく伝えることができなければ、納得させられなければ、透明化されても仕方ないんだろうか。そんなことはないはずなのに、中々支援の手は行き渡りません。もしかして私は、助成金向けの書類が書けてはいるものの、助成されるべきではないんじゃないか。
そういった悩みから、本公演では「私が以前もらった助成金額程度の額を貯金し、助成金を貰わない」という選択をしました。結果、その額をはるかに超える赤字を背負うことになりました。想定より悪いことなんていくらでも起こる世の中だなあと思います。
みんなが苦しいとわかっているとき、特別私が苦しいですと声を上げるにはどういう理屈があればいいんでしょうか。基準があればいいですけど、なさそうです。どういう言い方をすれば、共感して助けてくれるんだろう。
共感されるにはストーリーが必要だとマーケティングの本によく書いてあります。私もそう思います。幸か不幸か今の私たちには共感されるストーリーのようなものがあるのですが、それとどう向き合うべきかは考えなければいけないはずです。
商業主義であるとかマーケティングみたいなものから離れ、本質的なものごとについて考えるために小さな場所で演劇について考えているはずだったのに、どうやったらよりみられるか、刺さるか、共感を呼べるか、切実に見えるか、なんてことばかり考えてしまっていることに矛盾を感じます。
本作の企画段階のテーマは『効率化する世界と効率の最大化に向かう欲求への抵抗』でした。だったのに私たちは共感を得るために効率良い言葉を今になって必死に探しているのですから、情けないというほかありません。
共感して、支援してほしいと思います。
そんなことを言っていいのかとも思います。
私たちはそうされるにたる存在なのか、どうか。
かつて私がインターネットを覚え始めた頃、検索から、リンクから、たどり着いた島には多くの変人がいました。何の意味もないことを効率や採算度外視でやっていて、とても共感できないようなヤツらです。今ではほとんどがその姿を消しました。
せっかくなので今回は、そんな「好きだったけど、よくわからなかった」ヤツの話をしてみたいと思います。【実在哲学の世界 認識とは何か?】というHPを運営されていたカワノノブオさんという方の話です。よろしくお願いいたします。
カワノさんと私(佃)
中学時代、美少女ゲームの批評文化(雑に哲学書からそれっぽいフレーズを引用したりする)にハマっていた私は、学者の単著に手を出す勇気も理解する頭もなかったので、わからない単語を検索したら出てくるサイトの解説を読み、哲学を理解した気になる活動に精を出していました。
そんな日々の中で見つけたのが【実在哲学の世界 認識とは何か?】です。このサイトでは、元医者であるカワノさんが自身が直観した世界の認識や数学の理論、そして見たり遊んだりしたアニメ等のコンテンツに関する文章が掲載されています。少しだけ掲載させていただきます。
彼の哲学について
アニメについて
今なら、カワノさんの状態にある特定の病名がつくことがわかります。けれど、中学生の私がそんなことをわかるわけもなく、ただ異様な熱量と明らかにぶっ飛んだコンテンツへの執着と妙なユーモアに引き込まれました。
自らの記憶や経験に紐づくものだとはいえ、このように少し面白おかしく弄るように、あるいは自分の主張に沿わせるような形でカワノさんの話をするべきではないのだと本当は思います。申し訳ありません。
アニメキャラクターはみんな自分だと主張するカワノさんは、インターネット掲示板や黎明期のSNSでも精力的に活動していたようで、ツイッターにもこんな言及が残っています。
大学卒業後は医者として働いていたものの過酷な生活で挫折し、以降は職を転々としていたカワノさん(2017年ではアニメ研究者らしい)は、金銭的に苦しい生活を送っていたようで、サイトの断章のようなテキストや匿名掲示板の書き込み(カワノさんは匿名で書き込んでいてもすぐにカワノさんとわかる)では、時折生活の苦しさを吐露していました。
カワノさんと私とカンパ(佃)
そして、ようやく今回のカンパのお願いにつながるものが出てきます。
私は中学生だった当時、カワノさんに何の支援もしませんでした。
今の彼が何をしているのか、私は知りません。
たしかに好きだったけどちょっと怖いし、よく知らないけど面白い人にお金を払うことへのハードルが今よりもっとずっと高かった。支援しなかった理由ならいくらでもつけられますが、私は今でも少し後悔しています。
その人なりの真摯さをもって少し変なことをしている人に憧れます。
突然ですが、私がジエン社の山本健介さんのことが好きなのは、世間や流行とされるものからズレていたとしても異様に真面目で、その真摯さとおかしさがかつて好きだった人たちに似ていたからなんだと思います。
だから、手伝わせてくださいとただ居るところに話をしに行ったり、かまどキッチン名義で企画をやらせていただいたりもしました。
こういった携わり方なら、関わりたいものに関わることができる。私にとってそれは企画を出すことや考えることで、ある人にとってはお金を支払うことなのかもしれない。だから、だから?
ここまで、どこまで考えれば、私はカンパを募ることができるのだろうかと考えます。単に支援をお願いする、広くカンパをお願いするのは、なんか自分が急に文化祭バンドでボーカルギターを務めるみたいな感じで、やっぱり個人的に違和感が拭えません。
自分は今、こうしたカンパのお願いをするにあたって、カンパにいたるストーリーに共感してもらうことや支援をお願いすることへの抵抗を、関係ない思い出話まで含めて長々と書きながらやっています。たぶんこれは変なことだと思います。(この前の文章が色んな人から褒められたことが嬉しいけど少し怖くてそうじゃない感じのを書こうとしている側面もあります。)
真摯で少し変なことをしている存在に、私や私たちの劇団は、私たちの作るキャラクターは、もう少しこの人を観ていたいと思ったような存在に、なれているのでしょうか。そう思っていただけている方には、ピンチだぞって言ったり、ヘルプってむしろ積極的に言いたいと思います。
偶然にこの文章を読んでくれた方が支援してくれるなんてことがあるのであれば、それはとても嬉しく、ありがたいことです。観ていただいた作品や私たちの活動から、真摯で変な存在への愛嬌や慈しみを感じ、こいつらに何かしてやろうと思って、ご支援いただけるのであれば本当に幸いです。
三菱UFJ銀行 小田井支店(支店コード238)
普通預金 口座番号0100907 名義コダマケンゴ
先日上演した作品のアーカイブ映像の配信販売を本日急遽行うことにしましたのでそちらを購入いただくとか、団体のYoutubeチャンネルに投稿されている過去作を少し覗いていくとか、次は観ようって思っていただくとか、ご支援はどのような形でも全然大丈夫です。
また、皆さんと劇場でお会いできる日を迎えられるよう、引き続き努めてまいります。などと。
かまどキッチン 佃直哉
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