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米バイオヘブン、片頭痛薬の展開でファイザーと提携|海外ニュース

こんばんは。製薬業界向けニュース解説メディアAnswersNewsの亀田です。

本日は、日本でも次々に新薬が登場している「片頭痛」に関する海外ニュースです。

11月9日、アメリカで片頭痛治療薬「Nurtec ODT」を販売するバイオ医薬品企業「Biohaven(バイオヘブン)」が、アメリカ以外の全世界での開発・商業化で米大手製薬のファイザーと提携しました。

(ファイザー側のリリース)

片頭痛の治療には、①頭痛が出たあとに症状を抑えるための「急性期治療」②頭痛の回数を減らすために症状が出ていないときに薬を服用する「予防治療」ーーの2種類の薬物療法があります。

経口CGRP受容体拮抗薬のNurtec(一般名・rimegepant)は、急性期治療と予防治療の両方に使用できる薬です。2020年2 月に急性期治療薬として承認され、今年5月に予防治療に適応拡大しました。アメリカで両方の治療ができる薬が承認されたのは初めて。

CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は片頭痛の発作に関与するとされる神経ペプチド。光や音、匂いといった外部からの刺激によって三叉神経(脳神経の1つ)から放出され、CGRP受容体に結合すると血管を拡張させて炎症を引き起こします。(AnswersNewsの記事より)

提携の発表と同日にバイオヘブンが発表した2021年1~9月までの決算発表では、9カ月で1億3600万ドル(約154億円)を売り上げたと明らかにしています。製品の発売から現在までで総額3億3600万ドルを売り上げているそう。

今回の契約は、Nurtecを今後、ファイザーがアメリカ以外の各国で商業化していくというもの。開発はバイオヘブンが主導しますが、ファイザーは承認取得に向けた活動も支援します。現在は欧州などで承認審査が進んでいます(日本での開発は確認できません)。

あわせて、ファイザーはバイオヘブンが開発する次世代CGRP受容体拮抗薬zavegepantのライセンスも取得します(こちらもアメリカ以外の権利)。この治療薬は、経鼻投与とソフトゲル製剤で臨床第3相試験をアメリカで実施中です。

契約の対価は、一時金5億ドル(約565億円)。さらに最大7億4000万ドルのマイルストンや、ロイヤリティを受け取る可能性があります。

※※※

現時点ではrimegepantの日本国内での開発が行われていることは確認できませんが、日本では今年、3つの新薬が発売しました。

4月には、日本イーライリリーが開発した「エムガルティ」を第一三共が販売開始。8月にはアムジェンが「アイモビーグ」を、大塚製薬が「アジョビ」を発売しました。いずれも予防薬で、CGRPを標的とする薬です。

日本イーライリリーと第一三共は、イーライリリーが申請中の急性期治療薬の販売でも提携。予防と治療のトータルケアの展開を目指しています。

なお、AnswersNewsでこれらの治療薬や海外の開発状況をまとめた記事がこちら。1年半以上前の記事ですが、当時紹介した国内の開発品はほとんどが市場に出る見通しです。これから数年でCGRP標的の治療薬の市場がどのように形成されていくのかが注目されます。