池波正太郎が書いたもうひとつの「鬼平」「剣客」「梅安」
正月の三が日は池波正太郎の小説ではなく、戯曲を立て続けに読んだ。
「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人藤枝梅安」
いずれも池波正太郎の代表作で、大好きな作品だ。
小説もさることながら、戯曲もよかった。
小説と変わらず、テンポよく、心地よいリズムが全編を通し貫かれている。
会話そのものが本当に自然で、説明的なところが皆無なのだ。
また、どの戯曲も序幕の掴みが素晴らしい。
まず、物語の序盤でキャラクターをしっかりとたてっきている。
冗長なところが一つもないのだ。
さらに池波正太郎はこの戯曲を書いただけでなく、演出も行っていたというのだから、驚くほかない。
自分がまだ生まれる前のことだというが、一度、舞台を見てみたかった。
人生の妙味愉しむ達人の言葉の律動味わひ知らん
人の世に熱あれ、人間(じんかん)に光りあれ。