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青い鳥

今朝、実施した年内最後の読書会で取り上げたのがメーテルリンクの『青い鳥』

クリスマスイブの夜、チルチルとミチルの兄妹が青い鳥を探して、様々な異世界を渡り歩くおとぎ話であるが、小学生の頃、世界名作全集で読んで以来、手に取ることのなかった物語。堀口大學の訳で今回、あらためて、その世界を触れてみた。

チルチルとミチル以外にも登場人物はかなり多く出てきており、なかでも青い鳥をめぐって、チルチルミチル兄妹ともに、異世界を旅する従者が7人もいたことには、大いに驚かされた。

その7人の従者であるが、犬、ネコの他に、パン、砂糖、火、水、光の精がおり、チルチル、ミチルに付き従いながら、この7人が旅する姿は過去に読んだ「青い鳥」の中から、ついぞ思い出すことはできなかった。

今回の読書会にて本書を語りあったことにより、犬と猫、パンと砂糖、火と水は対になる存在であり、この存在はチルチルとミチルの内面、潜在意識の暗喩ではないかという感想が出てきたのだが、この発想には非常に納得がいった。

また、光の精だけは独立した存在で、チルチルミチル兄妹を導くガイド役でもあり、物語の最後で魔女の孫娘と呼応している。

なお、チルチルとミチルたちが回ってきた異世界のほとんどが、決して幸福な世界なんかではなく、青い鳥も次々と死んでしまい、最後にたどり着いた二人の家で手にした青い鳥さえも、結局のところ、飛び去っていってしまう。
幸福の象徴と言われる青い鳥だが、自分には悲しみの象徴としかみえなかった。

クリスマスイブの夜に貧しいきこりのこどもたちが見た夢物語と言えばそれまでの話だが、今回の読書会に参加してくれた友人が、コバルトブルーのキジバトを子供の頃、家の窓から見たことがあり、それ以来、見たことはないが、今でも忘れられないと語っていたことも強く印象にのこった。

子供の頃にみた夢、そして、青い鳥。
それを忘れずにいること。
そして、幸せは探すものではなく、悲しみを慈しむことで生まれてくるものではないかと、二人の旅を見て思うのであった。

汽車は闇を抜けて 光の海へ 夢が散らばる 無限の宇宙さ 星の架け橋 渡ってゆこう  人は誰でも幸せ探す  旅人の様なもの  希望の星に 巡りあうまで  歩き続けるだろう  きっといつかは 君も出会うさ  青い小鳥に

銀河鉄道999

「機械の体」と「青い鳥」
「メーテル」と「メーテルリンク」
999に青い鳥の影をみるのは自分だけであろうか。







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