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ニューノーマルでも会場参加を重視する意気込み。蒲郡市「東港地区まちづくりシンポジウム」の話。

昨年8月の蒲郡市の「東港地区まちづくりビジョン」策定に始まるまちづくりの取組の中で、キックオフイベントが開催されるようです。
まだ1月17日にリリースされたばかりの情報。

「東港地区まちづくりシンポジウム」チラシのオモテ面。
「東港地区まちづくりシンポジウム」チラシのウラ面。

詳細は上のリンク先からご覧いただければと思います。
参加方法としては、100名を上限とする会場参加と、定員無制限のオンライン生配信の2種類のチャンネルを用意いただいているそうです。

しかしながら、Webページのみに記載された、蒲郡市からのメッセージをしっかりと見つけましたよ。

※是非、会場でのご参加をお願いします。
蒲郡市HPより

ほら、ここに書いてありますよね。

「東港地区まちづくりシンポジウム」告知ページより

まちづくりの検討チームとは?

竹島ベイパーク。「東港地区まちづくりビジョン」では「港の交流拠点・水族館」や、「多目的な公共空間と調和した民間施設」などの土地利用が想定される。

チラシにあるように、シンポジウムにはたくさんの方々が登壇されるようです。
市長のほか、大学の先生、建築事務所、エリアマネジメント会社の方…。
行政にとって一部門に過ぎない、都市計画のイベントに市長が登壇されるというだけでも珍しい印象ですが、それに加えて公共空間活用や都市計画、建築、エリアマネジメント等の豪華な専門家が6名。
これはいったい。

解答を急げば、これらの専門家の方々は、「東港地区まちづくりビジョン」に基づくまちづくりを推進するため、蒲郡市が招集した専門家チームです。
このチームの発足については、シンポジウムの案内に先立って、蒲郡市HPで1月5日にお知らせが掲載されていました。

東港地区における公民連携まちづくりを推進するために設置された、専門家による検討チームというわけです。
名畑さん以外の全員が、大学に(客員も含めて)籍を置かれているようですね。
名畑さんも国交省イベントに呼ばれるほどの有名な方です。
かけがえのない故郷である蒲郡市に、このような専門家先生がずらり関わってくださるというのは、なかなか感慨深いものがあります。

その一方で、「東港地区まちづくりビジョン」を読んだ身としては、こうした専門家先生が、まちづくりにおいてどんな役割を担うのかな?と、ふと疑問も湧きます。
そのあたりのお話は、以下の記事でご紹介したものです。

繰り返しになりますが、東港地区まちづくりにおいては、「まちで過ごす人」「まちを育てる人」「まちづくりを支援する人」という三つのセクターが意識されており、とりわけ「まちを育てる人」の重要性が高いはずです。
それに対して、今回のような専門家による検討チームは、(ビジョンを読む限りは)いずれのセクターにも属さないように見えます。

おそらくは「まちづくりを支援する人」たる行政(特に蒲郡市)のブレイン、諮問組織となるのでしょうか。
また、今回のような公民連携・官民連携まちづくりでは、行政と民間のいずれもが"公共性"を担う主体たりうるので、その中で"公共性"を担保するための専門家チームと解釈できないこともないのかな、と感じました。(何を言ってるのか

何が言いたいかと言えば。
「専門家が入ったから、蒲郡はもう大丈夫」というわけではないのですよ。

なぜ会場参加なのか?

市道駅南1号線。道路空間の活用に向けたサウンディング調査の対象となる。

シンポジウムについてもう一つ。
冒頭で触れた、「是非、会場でのご参加をお願いします」のメッセージについてです。

当日のプログラムは、基調講演とパネルディスカッション。
一見すれば、「参加者が話を一方的に情報を入手する」タイプのイベントで、その点からすれば会場参加もオンライン参加もそれほど変わらないような気がします。

余地があるとすれば、後半のパネルディスカッション。
チラシにはこう書かれています。

パネルディスカッションに先だち参加者からの意見や東港地区でやってみたいことについて会場からの意見を紹介します。
蒲郡市HPより

そう、この「参加者からの意見」が、会場参加者にだけ用意されているコミュニケーションのチャンネルなのではないでしょうか。
実際、私は既に会場参加でシンポジウムへの参加を申し込んでいますが、その時点では東港地区まちづくりについての意見記入欄はありませんでした。
おそらくは当日、会場参加者に対してのみ、意見募集が案内されるのでしょう。(推測

そして、ここで意見を表明する・届けるということがきわめて重要だと思うのです。

行政にとって、正当なプロセスを経由して意見を受け取ることほど重要なことはありません。
正当なプロセスの他の例としては、説明会やパブリックコメント、議会質問などが挙げられます。
これらの機会に、正式な手続きを経て行政に寄せられた意見には、真摯な対応がなされるはず。
それは、施策の検討方針に反映されるかもしれません。

ましてや今回は、「是非、会場での参加をお願いします」とのメッセージがついているのです。
これは「ぜひ意見をください」と言っているもの。
「まちを育てる人」が存在するのかどうか、問われているように思えます。

蒲郡市で何が始まるのか、
どんなことを市が妄想しているのか、
ぜひ覗いてみませんか。

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