”デザイノイド”を知ると世界の見方が変わる [15分Essay_2]

進化論面白いよ

僕は昔から生物の進化に関する話が好きで、2018年も生物進化に関する本を何冊も読みました。なぜ進化に関する話が好きなのかについては、後日の記事に譲るとして、今日は進化論にまつわる「デザイノイド」という概念について話をしたいと思います。

「デザイノイド」は「利己的な遺伝子」でよく知られている進化論の大家、リチャード・ドーキンスが唱えた概念で「デザインされたわけではないが、あたかもデザインされたかのように見えるもの」を指しています。

ドーキンスはデザイノイドを使って、進化論がなぜ直感的には信じられないのかについて説明しています。人間もそうですが、今世の中に存在する生物たちが、もっともっと原始的な単細胞生物から進化したなんて正直信じられないですよね。

人間の手足や目、耳など機能的すぎて本当にデザインされたかのような形をしています。そう思えてしまうのは、僕たちが今現在の「完成品」を見ているからなのです。生き物は突然飛び跳ねて姿を変えるわけではなく、漸進的にだんだんと進化していって今のデザインされたかのような姿形にたどりついたのです。


デザイノイドの援用

この「デザイノイド」という考え方ですが、生物進化のみならず普段の生活の中でのものの見方にも援用できるものだと思います。

たとえば、自分が憧れている人がいて「なんてすごい人なんだ、きっと最初から志が高くて頭も良かったんだろうな」と思っていたとします。あたかも、最初から今の姿を「デザイン」して今の姿に近づいていったかのように見えると思います。

しかし、今の姿を最初から志して直線的に進歩していった人なんてめったにいないと思います。誰もが迷ったり停滞したりしながらだんだんと変化してきたはずです。

下の図のように、「変化は漸進的に起こるけれど、私たちは今この瞬間しか直感的には認識することができない」という矛盾によってどうしても、「デザインされた」かのうように感じてしまうのです。

今の姿にいたるまでの漸進的変化を想像すると、なんだか自分にもできそうな気がして勇気が湧いてきます。


変化の途上に目をこらすこと

これはポジティブな話だけではなくて、社会的にネガティブな変化にもあてはめることができます。たとえば、ヒトラー率いるナチスは最初からあのような人類史上最悪の虐殺を行うことを志向した集団ではありませんでしたし、オウム真理教の麻原彰晃は最初から日比谷線にサリンをまこうと思っていたわけではありません。

時間の経過に伴う漸進的な変化による細かな積み重ねによって、あのフィクションのような巨大な悪や狂気が「デザイノイド」として生み出されたのです。このように最終段階に至ると取り返しのつかない自体になってしまう変化に対して、日々目を凝らすこともすごく重要だなと思います。

最後に進化論のおすすめ本を紹介しておきます。
「デザイノイド」について言及されているドーキンスの本。
https://amzn.to/2FbkCm5
遺伝子レベルで進化とは何かについてわかりやすく説明してくれている本。
https://amzn.to/2C7hqEa
人類の進化と、ホモ・サピエンス以外の人類との関係性について説明してくれている本。
https://amzn.to/2F8wvZP

今日は以上です!


【15分Essayとは?】


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