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Ethereal Summit 2021 Day1 DeFi & NFT

Ethereal初日はNFT、DeFi、BTC、DOGEとホットトピックを一巡する形となった。明日はもう少し突っ込んだ話が期待されており、その前哨戦としてわかりやすい展開。

DeFiを通じて見たブロックチェーン業界のこれから

ブロックチェーン領域では、DeFiの成長が業界の成長を牽引するというのはコンセンサスと思う。EtherealでもPolychainキャピタル社長であり、CoinBase社員一号としても知られるOlaf Carlson-Wee氏は今後の展望について持論を語った。

DAO金融領域
資金配分ノウハウ:DeFiにおいてDAO金融領域が加速度的に成長していくとみている。DeFi市場規模は過去1年で$1bnから$75bnに急成長した。しかし伝統的金融機関と違って、急増したその膨大な資金の配分方法はまだまだ未熟であり、DeFi領域の成長には欠かせないノウハウである。
UXの改善:成長の起爆剤になるのはUXの改善である。DeFiの代表例と言われるUniswapもUXは使いやすいとは言えない。、誰しもが使いやすいUXにする必要がある。誰にでもわかりやすければ、ユーザーも増えるし、規制側もそれを容認しやすくなる。

政府・規制
ブロックチェーンはその性質上、国家規模ではなく世界規模で動いている。このため一国家が規制を強めたからと言ってその成長が阻害されるとは考えにくい。次のシリコンバレーがカリフォルニアではなく、北京でも不思議ではない。ブロックチェーンは勝者が全ての権益、利益を総取りできるわけではない。どちらかと言えば参加者全てが恩恵を享受できると考えられている。この観点からも規制をかけるのではなく、積極的に参加し共存していく流れが主流になると考えられる。

上場・資金調達
CoinBaseのDirect Listingが注目されているが、Olaf Carlson-Wee氏はコインベースの社員1号として、もっと違う形があったのではと考えている。USDTがドルと紐づいているように、CoinBase株と紐づいたOnchain上でのトークン形式の発行であれば価値は更に上がっていたのではないか、またその方が従来のコインベースの理念にかなっているたのではないだろうかと述べた。

NFTの現状と今後

Ethereal初日最初の登壇はNBAチームのオーナーでもあり、ブロックチェーン領域で存在感を強めるMark Cuban氏で、トピックはNFTについてであった。彼自身がLazy.comというNFTのデジタルアートギャラリーを展開しており、登壇中もコレクターであると自認した。彼の対談を以下にまとめた。

NFTはバブル真っ只中なのか?
Cuban氏によれば違うとのことである。バブルとは限定的な供給と需要過多によっておこるものであり、NFTは無限に生み出すことができるものでありバブル足りえない。現状では投機家や新規参入者が多い為価格が急騰しているが、今後はコレクターによる価格形成が期待される。現実世界と同様にそれぞれの分野でのコレクター勢による需給を反映した市場となることが予想される。

NFT法規制注意点
Cuban氏登壇の後に弁護士や教授陣による法規制についての対談があった。
NFTの取引において注意しなければいけない最大の点は、現状の法規制ではNFTの所有権とそのNFTの2次使用に関する権利は別であるということである。購入したNFTを使って商業目的で新たな動画等を作ることは許されていない。NFTの所有権を保有していてもその知財権は保有していないということである。

暗号資産領域のあのね

登壇者にはあくの強いRoss Gerber氏とMeltem Demirors氏。規制当局や伝統的な投資家、金融機関への不満を述べる会となった。
CoinBaseのChief Legal OfficerのPaul Grewai氏の対談も含め、暗号資産領域の展望についてまとめる。

BTC/ETHからETH/BTC
Cuban氏対談において、彼はこれからEthereumひいてはETHに需要がシフトしていくと述べている。現状ではブロックチェーンネットワークのほとんどがEthereumネットワーク上で構築されており、当面続くと考えられる。Stakingでも対ETH建ての資産は大きい。DeFi=ETHの縮図が崩れない限りはこのトレンドはとまらないだろう。

機関投資家の定義(資産規模)
BTCに代表される暗号資産に投資する機関投資家の定義が変わりつつある。2,3年前は2,3億円から10億円規模の投資家を指していたが、最近では50~100億円規模になった。今後も大型化していくことは想像に難しくない。特にETFの誕生はこの動きを加速させる。米国においては退職基金をはじめとする年金ファンドがETFを通じて参入する。退職基金ファンドは1兆円規模で運営しているところもあり、この一部が流れ込むだけでも市場への影響は計り知れない。

取引所における各種対応
暗号資産上場要件:CoinBaseが株式市場に上場したことで、規制当局対応や差別化の一環として、暗号資産取引所の運営の透明性は高まっていく。例えば暗号資産の取引所上場要件の明示があげられる。
規制当局への対応:CoinBaseはGoogleやFacebookのように当局からの開示要求には法が許す限り強い立場で対応していきたいと述べた。
アンチトラスト法:Apple、Googl等に対してアプリ提供や決済において市場アクセスの自由を阻害しているのではという声があるが、CoinBaseは現在この点について懸念していない模様である。

環境問題への言及
Cuban氏によると、金採掘の際に使用される電力量はビットコインマイニングにかかる電力量を上回るとの研究結果が報告されているとのことである。また、伝統的な金融機関は一等地に高層ビル等を保有、運営しており、彼等が日常業務をこなす為の電気代や従業員の通勤等の運営にかかる電力量を考えれば、ビットコインについて問題視されるのはおかしいと述べた。

プライバシーコイン
IronFishのElena Nadolinski氏によると、現在のプライバシーコインは仕様が難しく、本当の意味でプライバシー性は担保されていないと述べた。例えば、ZcashがCEX(中央集権型取引所)上で取引、保管されている場合その取引は全て記録されており真の意味でプライバシー性が高いとはいい難い。一方でプライバシー性の高さの弊害としてAML(アンチマネーロンダリング)等の問題点があげられるが、プライバシーコインといえども問題が起きた時の為の追跡を可能とするツールが存在していると述べた。

クリプトの冬はまた来るのか?
Cuban氏によると、伝統金融同様、様々なリスクを軽減するデリバティブ商品が登場する中でクリプトの冬が再度来ることは考えにくい。Archegosのようにリスクを増大させるレバレッジをかけて自滅する投資家がでてくる可能性は否めないが、規制当局がそれを容認し続けるとは考えにくい。新SEC新長官Gensler氏主導による投資家保護のための規制に期待したい。

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