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偽善のうえに成り立っていた世界平和の終わり。政治体制で平和はつくれないとしたら

民主主義がよりベターな制度であると私は思う。正常な姿であれば、国の主権は国民にある。しかし、ヒトラーやプーチンの独裁政治も異常なかたちの民主主義であるから、手放しで民主主義を褒めることはできない。プーチンのウクライナ侵攻でそれをまざまざと見せつけられた。だから民主主義は未来永劫未完成でありつづけるのだろう。

共産主義はイデオロギーだ。それはマルクスの説いた学説で、資本主義社会はいずれ共産主義社会へと移行するとした。しかし、共産主義の実験はスターリンという狂気の誕生で打ち砕かれた。共産主義国家の主権は、独裁にも匹敵する彼ひとりのものであった。北朝鮮も共産主義国家と同様の主体思想を唱え、極端な個人崇拝と独裁政治の状況下にある。

中国も共産圏の国家ともいえるが、一部には資本主義を導入している。この国の特殊性は、儒教と共産主義の融合にある。科挙に例を見るようなエリート集団の育成と、エリートを頂点とする官僚制による政治体制だ。この国では国民の人権は無く、その主権は頂点に立つ一部エリートが握る。

神にすべてを委ねるのがイスラム世界。民主主義的国家も独裁国家もあるが、最後は神の教えに背くことはしない。これらの国の主権は神にある。神の名を借りた指導者の独壇場になりやすい。

世界のリーダー的存在であるアメリカ。第一次世界大戦・第二次世界大戦で勝利し、東西冷戦にも勝利してこの世の春を謳歌したアメリカは世界の警察官役を果たしてきた。
しかし、栄枯盛衰の喩え通りそのアメリカにも陰りが見え始める。

トランプ大統領の登場でアメリカの政治がかたちを変え始めた。トランプの主張したアメリカン・ファーストは、基本的にはバイデン大統領に代わっても引き継がれている。世界大戦前夜のアメリカはこれまでも孤立主義を保って、ひたすらアメリカの国益を優先させてきた。本土を戦場にされたことはなく、本土を守るために必要な国は同盟国として手厚く処遇し、彼の地を戦場として我の盾にしてきたアメリカ。そのアメリカの懸念は経済面で激しく競う中国だ。欧州と違いエネルギーは自国で賄えるのでロシアは脅威とはならない。

不沈空母「日本」は中国に対するアメリカの盾だ。日本もアメリカの盾に安住しているだけでは済まなくなった。どう自己防衛を図るべきか考えなければならない。好ましいことではないが世界中で軍拡競争が起きるであろう。核攻撃をちらつかせるプーチンの悪魔のような所業により、偽善のうえに成り立っていた世界平和がガラガラと崩れ始めた。

これで誰が得をするのであろうか。そのあたりに真犯人がいるやもしれない。

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