『国語 算数 理科 しごと―子どもと話そう「働くことの意味と価値」』で働くことと会計と、あとなんとなく人生がわかった気がする

もともとは小飼弾さんの本を読んで、参考図書として紹介されていて読み始めた。

娘に仕事が何かを聞かれた父親が、一週間の対話を通して働くってなんなのかを説明するという話。月曜日から土曜日までに話される内容はどれも、なるほどなって思う内容なのだけれど、とくに火曜日と水曜日の内容が面白かった。

貸借対照表と損益計算書を左右の列にブロックを積むという形で説明される。
⓵左側に「資産」右側に「収益」を積むと利益が大きくなる。
②左側に「費用」右側に「負債」を積むと利益は小さくなる。
③左側に「資産」右側に「負債」を積んでも利益は変わらない。

普段の自分の生活に当てはめて考えると、⓵は給料をもらった場合、②はお金を借りて何か必要なものを買った場合、③はお金を借りてそのお金が手元に残った場合。でいいのかな。
ふと、手元のお金でなにか必要なものを買った場合はどうなるのだろうと思ったけど。たぶん、左側に「費用」右側に「資産」になる、ような気がする。

このブロック積みを繰り返していくと、貸借対照表が変化する。本では図を使って変化が見やすくなっている。

これを眺めていると、なんとなく、今はたらいていることは会計そのものに思えてくる。今の社会では、60歳(あるいはもう少し先)くらいにはたらくのをやめる時期がやってくるというのを前提にいろんな仕組みがつくられている。そうすると少なくともその時期がくるまでは、費用より収益が大きい状態にして利益を生み出して、資本を大きくしておく必要がある。はたらくのをやめても生きていく限りは費用が発生するが、収益はもう発生しない。資本は減るばかり。

でも、もしはたらくのをやめる時期を先延ばしできれば、資本の大きさをある程度まで小さくすることもできる。収益より費用の方が大きい状態になる可能性はあるけど、損失を小さくして資本が小さくなるペースをゆっくりしたものにできる。

これって会計とか言われなくても普段からなんとなーく、前提として暮らしているものな気がするけど、あらためてそれって会計ですよって言われると不思議にすとんと理解できた。ブロック積のゲームをやってんだなと。

で、生きている時間をかけてどのようにブロックを積んでいくのがいいのかは、自分自身の問題でもあるけど、社会の在り方の問題でもあるなと。
もしずっと費用と収益がトントンの状態を維持できれば、別に資本を増やす必要もない。そう考えると費用を小さくしておくのは、ある場合にはすごく理にかなっている。無理に収益を増やす必要がないんということだし。

上のようなことを考えていると、税金ってのはなんか不思議な存在だなと思えてくる。利益に対して累進的に課税されるわけだけど、なんで利益に対してなのとか、なんで累進的なのとか。ここで暮らしていくことにかかるもろもろの代金ってことなら、利益と関係ないし、額によって変化する必要もないし。調べてみようと思う。
ベーシックインカムなども、人生のブロック積の1つの方法としてみると、なんか見方がかわったり、理解が深まったりするのかもしれない。


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