内発的動機付け
「社員一人ひとりが主体的に動いて改革に取り組む」というスローガンは心地よい響きですが、では実際にどうすれば主体的になってくれるのでしょうか?
ひとつは評価、昇進、報酬で動機付ける「外的報酬」が考えられます。ところが「外的報酬」で人を動かそうとすると、創造性や責任感、もっというとやりがいが欠けてしまってモチベーションも生産性も下がる傾向があります。つまり人を飴と鞭で動かすというのは難しい。そもそも主体的に動いているとは言い難い。
これとは対極的になるのが、自分の心の奥底からやる気を起こさせる内発的動機を高めていくというアプローチです。心理学者エドワード・L・デシとリチャード・ライアンが「自己決定理論」で体系づけた内発的動機を高める方法として次のような3つの要因を満たすことが重要であると説明しています。
①自律性:他人から強要されたのではなく自分が選択したものであること
②自己効力感:自分の持っている能力あるいは可能性からみてできそうだというもの
③関係性:自分一人の活動ではなく、多くの人とのかかわりがあるものであること(サポートがある、頑張ることで多くの人が助かる)
これをもとに部下たちが主体的に動くようにするために上司がとるべきスタンスをまとめてみました。
1.部下の考えを尊重する
例:業務を指示する際には背景や目的をしっかりと説明し、「いまこういう状況だけど、何をすればいいと思う?」と聞いてみる。自分の考えているプロセスと違っていても目的が同じであればその考え方を尊重してみる。
2.部下の可能性を信じる
例:部下の強みや経験を根拠に「だから君なら出来るよ」と勇気づける。自分もその可能性を心の底から信じる。
3.いつでもサポートする用意があることを伝える
例:進捗確認をし客観的な視点でフィードバックする。停滞していたり壁にぶち当たっているときはいつでもサポートする用意があることを伝える。
これらは心理学の分野のため、子育てにも使えます。自分の子供が受験やスポーツで悩んでいたときはこういうアプローチをとると考えると、やってみようと思いますよね。
伸び悩む部下ややる気を失っている部下を「自分の子供だったら」という感覚ですすめていくのもひとつの手です。
息子が野球で悩んでいたときにこの考えをしっかり勉強していればよかったなと悔やまれます。