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これからの時代の英語との付き合いかたについて

最近DeepLなどの超高品質な機械翻訳が出てきて、ますます英語の学習の必要性について懐疑的になっている人も多いと思います。

私自身はエンジニアとして、英語というものは仕事や勉強、友人とのコミュニケーションをするためのただのツールと昔から捉えています。なので、テクノロジー(機械翻訳)が発展すればするほど英語の学習はいらなくなるし、それが望ましい事だと思っています。個々人の貴重な人生の時間を他に充てることができるのですから。

もちろん他言語を学ぶことで異種の文化だったり多様な価値観を知るきっかけを得ることが出来るのは確かで、私自身もそのような経験を沢山してきて大切に思っています。ただそれらの経験を得るために、英語はきっかけの1つにすぎず、必要条件ではないと思っています。テクノロジーの力に頼ろうが(更に言えばテクノロジーが無くても)コミュニケーションさえ成立すればそれで良いと思っています。

これからどんどん英語の学習の必要性が薄れていくのは間違いないのですが、テクノロジーというものは私たちの都合の良いタイミングで発展してくれないので、英語のスキルがない人でも文章を読んだり書いたりするのはほぼ問題なくなってきているのですが、対面のコミュニケーションの壁を完全に取り払うにはまだ結構時間がかかりそうです。

昔から言われていることですが何のためにどの程度英語の学習をしていくか、というバランス感がより一層重要になってきていると思います。英語のスキルの重要性はどんどん無くなっていくので、「TOEICで何点」のような資格としての意味は大きく薄れてきています(ただ個人的にはTOEICは「英語という様々な要素が絡み合った複雑な能力」の実力を大雑把に知る用途としては優れた指標であると思っています)。

なので常にテクノロジーの動向をチェックして自分にとって英語の何を勉強するのが最も効率的か、ということを意識しアップデートしていくのが大切かな、と思っています。極端なことを言うと英語はテクノロジーがいずれ解決するから、今は他に全力でリソースをかけるという戦略も良いですよね。ただ現時点の状況では残念なことにそれで様々な機会を失ってしまうこともあります。これは個々人の選択だと思っています。

一番もったいないのは好きでもないのに漠然と英語を勉強することで、昔は英語はスキルとして最も汎用的で役に立つものの一つだったのである程度理にかなっていたと思うのですが、今は状況が違います。情報が民主化されて、これだけ他に勉強出来ることや面白いことが沢山ある中でなぜ今英語を勉強するのかという事を、一人一人が自分の価値観と照らし合わせて改めて考えることが必要になってきました。

このように、英語への付き合い方を考えると、自然と自分が何を大切にしているかがわかってくる時代になってきたのかな、と思います。

以上が「これからの時代の英語との付き合いかたについて」何となく思っていたことでした。


(以降はただの私の個人的な話(※サンプル数N=1)になります)

私自身は「ある分野で最先端にいる海外の人と一緒に仕事をしたい」「論文を速く読める、書けるようになりたい」「視野を広げたい」「様々な価値観にふれたい」ということを漠然と思っていました。この中で「視野を広げたい」「様々な価値観にふれたい」は副次的なもので、英語ができることとは実はさほど関係ありません。論文を読む・書くのも、頑張ればできるし、テクノロジーや周囲の環境が解決してくれる比重が大きいです。

なのである分野で最先端にいる海外の人と一緒に仕事をしたいということを満たすために英語の勉強をしていました。その必要条件は「特定の技術分野に関する議論が十分にできること」「仕事上の信頼関係を築くためのコミュニケーションが十分にできること」という、スピーキングとリスニングの能力でした。

スピーキングとリスニングというのは表裏一体で、リスニングが出来るようになるためにはスピーキングの勉強をするのが効率が良く、逆もまた同様です。また、語彙力も基礎能力として必須でした。

スピーキングとリスニングを訓練するために「英語耳」で発音の集中練習と「瞬間英作文トレーニングシリーズ」を毎日決まった分量(約20分程度)を2年間続けました。「英語耳」は本当に良書で、発音が出来るようになると、リスニングで聞き取れる領域が明確に広がりました。「瞬間英作文トレーニング」は有名なので今更語ることはないのですが、スピーキングの訓練としては最適だと思っています。他にもスピーキング系の教材にはいくつか手を出したのですが、結局瞬間英作文で身についたものがほとんどだったと思います。スピーキングとリスニングの学習時間の合計は2年間で602時間になりました。

語彙の学習は「iKnow!」を数年間毎日50単語続けました。iKnow!の良いところは、コースを選択しさえすれば、忘却曲線を考慮して自動的に学習に最適な単語をピックアップしてくれるところです。自分で何を勉強するかという無駄な選択に時間を使わなくて良くなるので、作業全体が簡略化できます。また、自分で単語を登録できて、データベースからその単語が含まれる例文をピックアップできるのも重宝しました。語彙の合計の学習時間は890時間、学習した英単語は7755単語(内、マスターした英単語は7071単語)になりました。

全ての学習を、負担を限りなく抑え10~20分ほどで終わるものにして、毎日続けることを優先しました。しないと気持ち悪い、という状況にもっていくのが習慣化の鉄則でした。

そして現状どうなったかなのですが、自分は非常に学習の要領が悪く、以上のことをやってもそこまで英語ができるようにはなりませんでした。今でも、特にリスニングは苦労しています。よくWeb上の記事であるような短期間で凄く上達した人などを見ると「自分に比べてすごいなあ」と思ってしまいます。ただ、仕事をする上での必要条件だけはかろうじて満たせたので、海外の大学で研究をする機会を頂きました。

今は、「会話をしていたそのときは思いつかなかった表現」を書き出す訓練をしています。語彙の学習はずっと継続しています、凡人なので辞めた傍からどんどん忘却されていきます。

英語の学習は正直あまりコストパフォーマンスが良くありません。でも貴重な時間を使うからこそ、なぜこれを今勉強しているんだろうという自分の価値観と自然に向き合えます。私もこれからも、今の自分にとって何の学習が必要かということを考え、選択していきたいと思います。

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