見出し画像

ユーザーとの共創:クラウドインボイス開発の舞台裏

 こんにちは!私は株式会社クラビスのインボイスチームでエンジニアリングマネージャーをしています。宮前と申します。先日、テックリードののんちゃんこと西之原さんが「Kubernetesの知識をなるべく持たずに使えるお手軽開発環境」という記事を書きましたが、ご覧になりましたか? インフラに詳しくない開発者でも簡単に検証環境を作れる便利な方法を紹介しています。ぜひチェックしてみてください!
 クラビスでは、ユーザーの皆様から日々頂くフィードバックを元に開発を進めています。インボイスチームでは『マネーフォワード クラウドインボイス 』[受領] というプロダクトの開発をしていますので、今日はその裏側についてお伝えしたいと思います。


宮前嘉夫
株式会社クラビス invoice事業本部開発部所属。
エンジニアリングマネージャーを担当している。

『マネーフォワード クラウドインボイス』について

 『マネーフォワード クラウドインボイス』は、「郵送の請求書受け取りが大変」「請求書が経理担当の手元に届かない」「法改正に対応できるか不安」といった、請求書業務のお悩みを解決するプロダクトです。
 郵送やメールで送られてくる全ての請求書を一括受領・一元管理する事ができるので、テレワーク中の皆様にも最適なプロダクトです。

ユーザーの声を早く捉えて早く開発に反映

 2022年8月24日に『マネーフォワード クラウドインボイス』を正式リリースしてから、多くの方々にご利用いただいております。ご利用中のみなさま、ありがとうございます。
 一方で、新規プロダクトのリリースにおいて、どうしてもテストだけでは潰しきれなかった挙動や不具合が発生しています。
 ユーザーの皆様からは、大変ありがたい事に多くのフィードバックをいただいており、これらのフィードバックは、SlackのCS・セールスから開発チームに連絡するため専用のチャンネル上で、フィードバックを受けた担当セールスやCSのみなさんから開発チームに即座に伝えられています。(合わせてFlyleというツールを利用してお客様のお声を貯めることもしています。)

リリース間もない頃のセールスと開発のやり取りの例をいくつか紹介していきます。
例えばこちら


弊社サービスではAI-OCRでの自動読み取りを行っておりますが、その読み込みがうまくいきませんでした。クラウドインボイスというサービスでは登録した取引先と請求書の自動照合をし、データと書面のマッチングをしています。現場からの共有により、マッチングの改善が必要となったケースです。この対応として、取引先情報の読み込み/参照として『完全一致→一致率が一定以上あり、一致率上位のものを抜粋』と段階を分けることで対応をしました。

また、金額の誤りや請求書内で金額を引き算するようなマイナス請求の対応が必要ということが発覚したケースがありました。

これらは、事前に一般的な課題として取り上げておりませんでしたが、運用を続けていく中で、将来的な課題として大きくなるという判断を行い、即時改修をかけた事例です。

このように、問題の大小切り分けを行いつつ、ビジネスサイドから上がってくるお客様のお声と課題については改善に努めています。

フィードバック例

 請求書と一口に言っても、専用のシステムで作成された請求書や、WordやExcelなどで作られた請求書、手書きの請求書など、世の中にはとても沢山のフォーマットがあります。データとしても、スキャナやカメラで撮影された画像データの場合もあれば、システムから直接出力されたPDFデータの場合もあります。消費税も、通常の10%の消費税だけの場合もあれば、8%軽減税率が含まれていたり、非課税の項目が含まれていたりします。
 これらの様々なフォーマットの請求書をデータ化するのは、実はとても難しく、時にデータ化ができなかったり、間違った数値を出力してしまうことがあります。
 一方でユーザーの皆様は、アップロードした全ての請求書が間違いなくデータ化される事をご期待されていらっしゃいますので、データ化結果が間違っている場合はご期待に添えていない形になります。
 開発チームでは、これらのフィードバックを真剣に受け止め、なるべくスピーディーに(できれば次月の同じ請求書のデータ化に間に合うよう)開発を進めています。

打ち合わせ風景

開発の難しさ

 請求書を作るのはシステムを介しているとは言え人ですし、請求書を受ける側もシステムを介していますが人です。人が介在する時に難しくなるのが、やはり表記の揺れです。
 例えば法人格で言うと、「株式会社」と記載されている場合もあれば「(株)」の場合や「㈱」「㍿」の場合もあります。文字も全角・半角それぞれの場合があり、記号に関してはとても似ている文字が幾つもあって、請求書に記載されている記号と、マスタに登録されている記号が、見た目は同じだけれども違うといったこともあります。これらの表記揺れ全てに対応することは非常に難しいことです。

 また、インボイス制度により、どんなデータを入れなさい、どのように処理しなさいというルールは共通になりますが、必要データが入っていれば請求書のフォーマットは会社ごとに自由に作れてしまいます。同じ情報(例えば税率ごとの内訳金額など)が表紙の部分に書いてあるケースと、明細に書かれているケースなどさまざまです。このような表記箇所の不統一は、例外ケースも含めた全てに対応できているわけではなく、ある程度データが集まった後、分析を行った上で改善が必要な箇所と言えます。

ユーザーからの嬉しいお声

 フィードバックに一つ一つ対応していった結果、お客様から嬉しいお言葉を頂戴したこともあります。「最初の1ヶ月は読み取りの精度がすごく悪かったのに、次の月には精度が上がっていて、その状況が今も続いている。できることはすぐに対応してもらえるところに感動した」というお言葉を頂いた時は、とても嬉しかったです。また、先に取り上げたマイナス請求書については、想定が不足していた部分があり、非常に学びになりました。時間がかかる仕組みや他サービスとの連携を視野に入れた開発など、難易度の高い開発を終え、リリースしたものに対してフィードバックをいただくことで、プロダクトの必要性や価値を実感できることも嬉しく思っています。

まとめ

 リリースを終え、運用を続けていく中で、プロダクトの価値やユーザーが抱える課題に対応する面白味、そして、難しさを感じています。しかし、さまざまな請求書が世の中にある中で、できる限り多くのフォーマットに対応していきたいと考え、継続的な開発を行っています。現在、ありがたいことに多くのお客様にご利用をいただき、多くのフィードバックや気づきを頂いております。それら一つ一つにすぐさま目を通し、ビジネスサイドと連携を計りながら素早い意思決定をしているものの、実装にはまだまだ時間はかかっています。そういった中でも、一つずつ対応していますので、これまで「フィードバックしてもどうせ放置されるんでしょ?」と思われていた方も、ぜひフィードバックを頂ければと思います!
また、こうしたユーザーの声を聞き、プロダクトをともに育てていきたい方がいましたら、ぜひ、一緒に開発をしていただければ嬉しいです!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?