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7.二つの文化

名画座支配人の大澤です。

今日は映画の話ではなく、本の話をしたいと思います。90年代に世界的な大ベストセラーとなった「ソフィーの世界」についてです。この本の主人公は14歳のノルウェーに住む少女です。少女の物語と言っても内容は哲学から歴史に至るまでの大きな世界観について触れられています。そしてこの本の中に「二つの文化圏」と名付けられた章があり、この中に私にとって興味深い話が出てきます。

それはヨーロッパ文明について触れている箇所です。ヨーロッパ文明は「インド―ヨーロッパ」そして「セム」という大きな二つの文化が存在するそうですが「インド―ヨーロッパ」は多種多様な文化を取り入れた複合文化で、大きな特徴は多神教なのだそうです。(これは日本の文化にも当てはまりますね。)そして「見ること」に大きな意味を持つ文化だそうです。「セム」の方はアラブに起源をもつ文化で今のアラブ人やユダヤ人のもととなる文化だそうです。そしてこの文化の大きな特徴は「一神教」。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教共に一神教ですね。そして「聞くこと」に大きな意味を持つ文化だそうです。この二つの大きな文化がローマに持ち込まれることで融合しヨーロッパ文明となって世界的に広まっていったとこの本は述べています。

「見ること」と「聞くこと」。人間の五感のうちの二つの機能なのですが、この二つに重きが置かれる理由が神をどうとらえるかということに関係していることが私にとってとても興味深いのです。「多神教」の場合、たくさんの神様が存在し、神様の中にもいい神様と悪い神様がいます。場合によっては神様が言うことに矛盾が見られるかもしれません。従って人々は「洞察する」「予見する」という「見る」ということが必要になるそうです。そうですよね、神様がいろいろなことを言うのであればそのどれが自分にとって大事なことなのか?あれこれ考える必要がありますから「見る」(これはもしかしたら診る、観る、視る、看るという意味合いも含まれているのかもしれません。)ことが大事なのですね。一方「一神教」の場合、神様が一人ですから神様の言葉を真剣に「聞く」が大事になるわけです。神様が言うことが絶対でその言葉の意味をあれこれ考えるために人々は聞くわけですね。

今、あるきっかけで知り合った女性との物語をまとめています。人間関係に悩みを持った女性なのですが、その女性との対話から私はコミュニケーションについてどうすればうまくいくのかをドリルにしたいと思って作業を進めています。そしてその中に「見る」「聞く(あるいは聴く)」という要素が入っていたので「ソフィーの世界」にある「二つの文化圏」という章が思い起こされたのでした。人にとって大きな意味を持つ人間関係。そしてその人間関係を円滑にするためのコミュニケーションは「話す」ことよりも「見る」「聞く」に重きを置く方がうまくいくのではないかなと思っています。ドリルが完成したら皆様にご報告したいと思っていますので今しばらくお待ちください。

大澤でした。


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