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名画座大澤支配人の心と身体の休憩室

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地方で名画座の支配人をやっている大澤です。人生は悩み多きものです。「しんどい時はいったん休んで、それからまた一歩踏み出せばいい」、これは私がいつも自分に言い聞かせている言葉です。… もっと読む
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記事一覧

15.自分の知らないことを知る

名画座支配人の大澤です。いままで2つのドリルを発表してきましたが現在第3弾として「ハピネスジャーニー」というタイトルの本の執筆をしています。以前の2作は小説形式のドリルでしたが、今回はドリル形式の小説にしたいと思っています。3作目ともなれば筆もスラスラと進むかと思っていたところ、今まで以上の生みの苦しみで1週間に1ページ書ければいい方で何日も書けない日が続いています。10月発刊を目標に執筆していますが、その予定も守れるかかなり怪しい状況なので気負わずに進んでは立ち止まり良いも

14.見えないものを信じ切る力

昨夜「リトルプリンス星の王子様と私」という映画を観ました。あの有名な「星の王子様」の後日談です。主人公はお母さんと一緒に暮らしている小さな女の子、そして飛行士のおじいさんです。 「星の王子様」というお話は有名なのでみなさんストーリーをよくご存じかもしれません。映画では舞台が現代となり「星の王子様」に出てくる飛行士はおじいさんとなって登場します。年をとった飛行士はいつも夜になると星を眺め、直らない飛行機をいつまでも修理し続ける周囲からは得体の知れない変わり者として知られていま

13.強みと弱み

暑い日が続き、体力も精神もげんなりしがちですがオリンピックも開催されてこの閉塞感の時代に一人ひとりが力を出し切って頑張っている姿を見て元気をもらっています。 コロナの猛威はとどまるところを知らず、毎日ニュースを見るたびに暗い気持ちになりますが、先日ロードショウを鑑賞してきました。(現在、私の名画座は8月末まで休館です。) 映画のタイトルは「るろうに剣心The Beginning」です。1990年代の漫画作品で2012年に実写化されています。私が説明するよりもみなさんの方が

12.素直さ(子供たちから学ぶこと)

名画座支配人の大澤です。 人が成長するために大事なこと。それは「素直さ」であると私は思っています。「素直さ」と聞いて皆様はどんなイメージを持ちますか? 「従順」「可愛さ」「ピュア」、一方で「自己主張がない」「優柔不断」 そんなことをイメージされたかもしれません。 最近新聞記事で「こどもの詩」という記事を読みました。保育施設や幼稚園で先生たちが聞いた印象的な子供たちの言葉です。 年長園児「先生、髪切った?」 先生「うん、切ったよ!似合う?」 年長園児「うん・・・・でも明日

11.コミュニケーションに言葉はいらない?

名画座支配人の大澤です。 先日、コミュニケーションについて私なりに思っていることをドリルにしましたが、今日はある映画を観て思ったコミュニケーションについての話をしたいと思います。 その映画のタイトルは「不思議惑星キン・ザ・ザ」です。何とも変わったタイトルですが、ゲオルギー・ダネリヤ監督による1986年の旧ソビエト映画です。地球にいる異星人によって惑星プリュクに瞬間移動させられてしまった建築家のおじさんとバイオリンを持った若い学生の話です。惑星プリュクにも二人組がいて四人を

10.真・善・美、そして愛

名画座支配人の大澤です。 今日は昔、私にもの凄いインパクトを与えた映画のお話をしたいと思います。その映画のタイトルは「チョコレートドーナツ」(原題は「Any Day Now」)。 この映画に登場する主人公たち(ゲイのカップルとダウン症の男の子)は我々が勝手に普通と思っている世界において異質と捉えられている人たちです。物語はそんな人たちの生きざまを強烈に描き出しています。時代は1960-70年代。2021年を生きている我々にとっては想像もできないくらい差別的であり、異質な人

9.「絶対的な存在」>「コーギトー・エルゴー・スム」

名画座支配人の大澤です。 最近、ドリル小説第二弾となる「コミュニケーションドリル」を発表しました。思いの外、好評をいただいており嬉しく思っています。人の悩みは色々な側面に存在しますが、その中でも人間関係に関するものは自分一人で解決することが出来ないので厄介な悩みです。今回のドリルはコミュニケーションに焦点をあてていますが、コミュニケーションは人間関係を築く入り口であり、良い関係を維持する手段でもあります。コミュニケーションを改善することが人間関係の悩みを解決することになるの

8.知らないことを知る

名画座支配人の大澤です。 今、ある女性との出会いから始まったコミュニケーションについての対話を元にドリルを作成中ですが、最近は集中力が減退しているせいか、執筆の方はカメのような歩みです。 集中力不足の時、私は映画を観ることにしていますが(それが仕事なんですけれどもね)、あまり観たことのなかったロシア映画を最近立て続けに2本観たのでそのことを少しお話ししてみたいと思います。 その映画は「スターリンの葬送狂騒曲」と「戦火のナージャ」です。両方とも第二次世界大戦勃発の何年か前

7.二つの文化

名画座支配人の大澤です。 今日は映画の話ではなく、本の話をしたいと思います。90年代に世界的な大ベストセラーとなった「ソフィーの世界」についてです。この本の主人公は14歳のノルウェーに住む少女です。少女の物語と言っても内容は哲学から歴史に至るまでの大きな世界観について触れられています。そしてこの本の中に「二つの文化圏」と名付けられた章があり、この中に私にとって興味深い話が出てきます。 それはヨーロッパ文明について触れている箇所です。ヨーロッパ文明は「インド―ヨーロッパ」そ

6.躓くということ

名画座支配人の大澤です。 最近、サン・オブ・ゴッドという映画を観ました。「神の息子」という意味ですが、イエス・キリストの生涯を描いた作品です。日本でもその人を深く知らずともクリスマスイブをみんなで祝うことが定着していますのでイエス・キリストのことをほとんどの人が知っていると思います。神の子として生まれ、人々に神の教えを伝え、最後は十字架にかけられて亡くなります。そしてその3日後に復活を遂げます。 映画ではイエス・キリストが生まれてから十字架にかけられ復活するまでが描かれて

5.選択と決断、そして覚悟

映画ではありませんが、Netflixで「ブラックリスト:シーズン7」が公開されました。 名画座支配人の大澤です。 数年前に知人に勧められて観始めた「ブラックリスト」ですが、Netflixに加入する前はレンタルビデオ店にいって争奪戦に加わっていました。(笑) ジェームズ・スペイダー(「セックスと嘘とビデオテープ」では美青年を演じていたスペイダーが禿げ上がったお腹の出た主人公を演じており、年月の経つ速さを感じます。)が演じる主人公の複雑なキャラクター、壮大なストーリー展開、そ

4.沈黙の再考

名画座支配人の大澤です。 今日昼間、田所さんとよく語り合ったバー「暖炉」の前に行きました。このバーの路地は本当に狭く、周りはほとんど個人のお宅です。現在は緊急事態宣言発令中のため、お店のドアには3月7日までお休みとの貼り紙が… 私は名画座をやっている関係で、映画にちなんだお酒(カクテル)を飲むことが多く、「暖炉」では田所さんとゴッドファーザーやフレンチコネクションをよく飲みました。最近は田所さんと飲む機会も無くなってしまい、少し寂しい思いをしていますが、彼の時間が取れたら

3.解決しようとしない問題解決

名画座支配人の大澤です。 昨日、Kindle版「名画座大澤支配人の自分探しドリル」を公開しましたが、その中で主人公の田所さんは何度も人生の迷子になり、その都度、私の名画座にやって来られました。彼が館内のシートに身体をうずめて映画を観ている様子を映写室から眺めながら、私は「今日はどんな問題を抱えてきたのだろう」と考えていました。 私が会社勤めをしていた頃、よく社内研修で「問題解決」と題された研修が実施されていたことを思い出します。 問題=あるべき姿ー現状 あるべき姿と現

2.自分探しドリル

名画座支配人の大澤です。 前回、「潜在意識」についてお話しましたが、その際お伝えしたドリル小説が完成しました。名画座大澤支配人の自分探しドリル(Kindle版) 主人公は田所羊司さんです。私が彼と出会ったのはもう1年くらい前でしょうか?彼が私の名画座に来た時、彼の様子はそれはもう憔悴しきっていました。私はそんな彼の姿に自分の過去を見ているようで、どうしても声をかけずにはいられませんでした。その日、彼は通勤電車に乗っていることが出来なくなって衝動的に下りの電車に乗り込み、そ